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「…先輩、」


病院を飛びだして目的の場所へ向かってただひたすらに枝を蹴る。
どれだけ寝てたのか聞いてないけど、体のだるさや重さからして相当な時間だったんだと分かる。現にもう息が上がってきた。このくらいで情けない。


「…もうすぐ行きますからね」


だけどこんなところで休んでるわけにはいかない。先輩が今必死で戦ってるんだ。私が助けに行かないでどうする。


「!…見つけた!」


どれくらい走ったかわからないけど森の中の開けた場所で、睡臥と少し距離を置いてしんどそうに膝をつくカカシ先輩がいた。


「カカシせんぱ…!!」


声をかけようとした私の視界に飛び込んできたのは先輩に向かって一直線に進むクナイから反射してきた光。途端にすっ、と背中を通り過ぎる感情。

気づけば、自分でも今まで出したことないような速さで先輩の前にいって飛んでくるクナイを斬り落としてた。


「遅くなってすみません、カカシ先輩」


後ろで感じるカカシ先輩のチャクラはもう弱い。だけど命に別状はなさそうだと少しホッとする。


「マリナ、お前、なんで…」
「話はあとにしましょう。先輩はこれ飲んで休んでてください」


兵糧丸を手渡してにこっと笑って先輩に再び背を向ける。
ふと視界に入るのはさっき見た睡臥と、アスマさんやテンゾウ先輩など暗部の方々。きっと私を連れ戻すために動いてくださったんだろう、もう皆さん切り傷だらけでボロボロだ。…申し訳ない。


「マリナ!」
「なんでこんなところにいるんだ!君はまだ安静にしてないと…」
「アスマさん、テンゾウ先輩。ご迷惑おかけしてすみません。勝手を承知でお願いします、ここは私に任せてもらえませんか?」


じっと睡臥を見据えて鞘に手をかける。自分の尻拭いは自分でしたい。


「何言ってんだ!お前まだ動けるような体じゃ…」
「幸い外傷はありませんし、どうやら綱手様もわかってらっしゃったようでどんどんチャクラがみなぎってきてるので安心してください」
「…だけど、」
「大丈夫です。先輩方の方がよっぽどやられて見えますよ」
「…っ」
「テンゾウ先輩。私なんかのことで暗部の方々を動かしてしまいすみません。カカシ先輩をお願いします」


睡臥を睨みつけながら言うと、諦めたようにため息をつくテンゾウ先輩。


「…君は一度言い出すと聞かないからね。僕からはひとつだけ。――絶対生きて帰ってこい」
「…了解!」


優しく、でも力強く微笑んでくれたテンゾウ先輩に頷いて飛び出した。


「ほう、俺の幻術を食らってそんなに早く戦線に復帰できるとは、さすが木ノ葉の鬼神ってとこか」
「無駄話はいい。言っておくが、私に二度同じ術は効かない。さて、どうする?…睡臥」


斬り合いながら防ぎ合いながら、どうやらまだ問答をする気力は残ってるらしい。
奴のクナイと愛刀を交えて押しあって距離をとった。


「強がっていられんのも今のうちだぜ。お前もどうせ満身創痍だ、そんなに長くはもたねぇだろ」
「…さぁ?それはどうかな」


足にチャクラを溜めて斬りかかる。カカシ先輩たちが心配そうに私を見つめる視線を感じて強く刀を握った。


こいつだけは絶対、許さない。


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