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「…んっ、」


ここは、どこ?
うっすら開けた視界に映るのは一面の白い世界で。鼻につくのはつん、と来る独特の消毒液の匂い。周りにぼんやり見える人影が忙しなく動いてる。


「!目を覚ましたわ!」
「すぐに綱手様に報告を!」


ばたばたと動く人影をやっぱりぼんやりと見送ると、しばらくして「マリナ!」という怒声と共にやって来たのは綱手様らしき人。


「…つなで、さま…?」
「あぁ、気分はどうだ?」
「…まだ少しぼんやりします」
「そうか。ひとまず無事でよかった」


安心したような表情の綱手様が徐々に鮮明に見えてくる。ゆっくりと上半身を起こすとなんだか体がだるい。それからなんだかとても温かいチャクラの流れを感じる。
ん?このチャクラは…。


「…先輩?」
「どうした、どこか痛むか?」
「あ、いえ、なんか体の中にカカシ先輩のチャクラを感じたんです」
「…そうか」
「!…もしかして、」


私の術を解いてくれたのは、先輩?
睡臥の幻術にかけられて私は仮死状態になってたはず。厄介な瞳術だからそれを解くのは難しいはずだけど、同じく瞳術を持ってる先輩ならその可能性はゼロじゃない。だけど先輩が持ってるチャクラ量は決して多くない。
ってことは…。


「…先輩、なんですよね。術を解いてくれたのは」
「あぁ」
「今、先輩はどこに?」
「…そんなことより診させろ」


話をごまかすようにすっと伸びてきた綱手様の腕をぎゅっと掴んだ。と言ってもまだあんまり力が入らないんだけど。それでもなんだか嫌な予感が拭えなくてやっぱりその腕をぎゅっと掴む。


「先輩は今どこなんですか?」
「…」
「綱手様」


じっと見つめると目をそらす綱手様。
この様子からきっといいことは起こってない。それならこんなところで呑気に寝てなんていられない。せめて居場所を聞き出すぐらいはしないと。


「どこなんですか」
「…言えん」
「?」
「言えばお前は飛び出すだろう。カカシがそれを望むと思うか」
「…」


先輩がそんなこと望むわけなんてない。絶対止める。
だけど、なんでかわかんないけど行かなきゃいけない気がするんですよ。


「…場所だけでも教えてください」
「ダメだ、」
「綱手様!」
「…と、あたしが止めたところでどうせお前は行くんだろう?」
「!」


諦めたようにため息をついて「お前は頑固だからな」そう言って薄く笑った綱手様から場所を聞いて窓から飛び出した。

先輩、すぐ行きますから。ちょっとだけ待っててくださいね。




「…ハァ、ったくあいつは」
「…マリナさん、大丈夫なんですか?」
「まぁ心配はないだろう。こうなることを見越してチャクラを活性化させるツボを突いておいた。あいつならそれだけすればどうにかやるさ」


私が出てった部屋の中でひらひら舞うカーテンを見ながら、綱手様がそんなことを言ってたとはこの時の私は知らなかった。


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