07





「マリナ…」


いつもの倍速で走ってるはずなのにやけに遠い気がする。体感時間で言ったらもう着いててもおかしくないのに。


「おい、そう焦るなカカシ。まだ里出たばっかだ。こんな飛ばしてたんじゃ向こうでなんもできねぇだろ」
「でもマリナが…」
「気持ちはわかるけどよ、お前がくたくたで来たらあいつが一番心配すんだろーが。ペース考えて行くぞ」
「…あぁ」


焦る気持ちと全然進まない道のりにイライラが募る。アスマの言い分は最もだけどそれでも俺はここでゆっくりなんて進めない。


思い出すのはマリナの顔で。
昨日の朝みたいに笑顔で行ってきますって言う顔やぶんぶん手を振っていってらっしゃいって言ってくれる顔、怒ったときにほっぺを膨らませた顔や照れたときにふん、とそっぽを向いた横顔。
いろんなマリナの顔が走馬灯みたいに頭の中を流れていく。


今はただマリナに会いたくて、無事だってこの目で見たくて仕方ない。


「!…あそこじゃねぇか?」


アスマの声に足を止めると、目の前にはいかにもといった感じのアジトが見えた。見るからに怪しげな雰囲気がむんむんしてる。


「本当にここにマリナはいんのか?」
「……あぁ。微かだけどマリナのチャクラを感じる。間違いないよ」
「んなら、さっさと連れて帰んぞ」
「…あぁ」
「――カカシ先輩」


すっと現れた五人ほどの暗部。その前に立つようにいるのはテンゾウ。


「僕のいる隊がこの任務を請け負いました、マリナはここで間違いないですか?」
「あぁ、すぐに行く」
「了解しました。我々は睡臥の捜索に取り掛かります。…先輩」
「ん?」
「…マリナをお願いします」


深く頭を下げるテンゾウと暗部たち。
マリナは暗部を抜けた今でもみんなに愛されてるんだと実感出来て不謹慎だけど少し嬉しくなった。


「あぁ。マリナのことは俺に任せて。お前たちは睡臥を頼む」
「了解しました。何かあれば呼んでください、僕がすぐ伺います」


すっと消えた暗部たちの姿を確認してふーっと息を吐く。


「さて。そろそろ行くか?」
「…あぁ」


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