01





「おっはよーございまーす!」


がちゃりと待機所のドアを開けて同時に挨拶。親しき仲にも礼儀ありって言うしね。
どちらかと言えばうるさい方のこんな私にも優しい先輩方はいつも笑顔で返事をくれるから大好きだ。


「おはよ、マリナ」
「おはようございます、カカシ先輩!」


そんな大好きな先輩方の中でとりわけ別格に大好きなのがカカシ先輩。一応、私の恋人ってやつ。…恋人だって。なんか照れるな。


「今日も元気だねお前」
「もっちろん!朝一番で先輩に会えましたしね!」
「はは、俺も嬉しいよ」


先輩にぴたっとひっついて座って頭を撫でてもらいながら幸せな朝に浸る。
あぁ、なんてラッキーなんだ今日は。朝一番から先輩に会えるし今日も先輩は格好良いし頭撫でてもらえるし。ツイてる日だな、うん。


「…ハァ。朝からお熱いなお前ら」
「あ、おはようございますアスマさん!」
「今気づいたのかよ」
「まぁまぁアスマ。そうカッカしないの」


ごめんなさいアスマさん今気づきました。カカシ先輩しか見えてませんでした本当にごめんなさい。
そう心の中で謝りながら頬を掻く。


「ま、別にいいけどよ。あー、俺も紅とイチャつきてェ」
「え、珍しいですねアスマさんがそんなこと言うなんて」
「たまにゃこんな日もあんだよ」
「紅は一週間前から任務で里にいないから、こいつもいろいろ溜まってんのさ」
「なるほど」
「…ま、そーゆーことだ」


ぷかーっと煙を吐き出した煙草を揉み消したアスマさんはよっこいしょ、と立ち上がる。あれ、もうそんな時間か。


「んじゃ、行ってくるわ」
「行ってらっしゃい、アスマさん」
「おう、お前らも時間気をつけろよ」
「大丈夫ですよ!」
「もう行きなって」
「へいへい」


しっしっ、と手をやるカカシ先輩を止めながらアスマさんを見送った。数人いたはずの待機所はいつの間にか私と先輩だけ。
やっぱり今日はラッキーだ。


「今日の任務はどんな感じ?」
「今日は、たしか単独のAが2件だったと思います」
「…なかなかハードじゃない?それ。大丈夫?」
「全然平気ですよ、任務内容もさほど難しくないですし!先輩は?」
「俺は…ってこら」
「あいてっ」


途端に不機嫌そうな顔で私の額を小突くせんぱ…じゃなくて、カカシ。
二人きりになったら敬語と先輩呼びはやめる約束だった。付き合って二ヶ月ぐらい経つけどついつい癖で出ちゃうんだよなぁ。



「ごめんごめん、それで今日は?」
「俺は中忍連れてBが一件と、一旦戻って別メンバーでAが一件だったかな」
「そっちこそハードじゃん。大丈夫なの?」
「俺を誰だと思ってんの、平気平気。たぶん夕方すぎには終わるんじゃないかな」
「なかなか厳しいよそれ。カカシは大丈夫でも他の人たちがきついんじゃない?」
「ついてこらんないやつが悪い」


あぁ、こりゃ何言っても無駄なやつだ。
きっと最速で終わらせて他の人たちがくたくたで帰ってきて後で綱手様に「無理はさせるな!」ってどやされるやつだ。
その人たちの苦労を考えて思わず苦笑い。


「マリナは何時ごろ終わりそう?」
「んー、どっちも単独だからたぶん夜ぐらいかな」
「そっか。じゃ晩飯は一緒に食えるね。ここで待ってるよ」
「いいよ、家で待ってて。終わったらすぐ行くから」
「そ?わかった。俺ん家で待ってるね」
「うん。じゃあ私そろそろ行くね」
「ん、俺も行く」


立ち上がろうとした私の額にひとつ口布越しのキスを落としたカカシは、満足そうに笑って私の手を引いて待機所を出る。

嬉しいけど、やっぱりまだ慣れないな。
ぐいぐいと引っ張られながらもう来てしまった別れ道。


「じゃ、また夜に」
「ん、気をつけて」
「カカシもね」


繋がってた手を離してぶんぶんと振る。苦笑いのカカシも控えめに振ってくれた。


「行ってきます!」
「いってらっしゃい。俺も、行ってきます」
「いってらっしゃい!」


さて、今日も一日頑張りますか!
瞬身でカカシが消えたのを確認してぱちんと頬を叩く。カカシより先に帰って夕飯作っちゃおっかな。ビックリさせたいもんね。

そんなことを考えながら緩む頬を抑えて任務に向かった。



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