「んふふ」
火影邸の廊下を風呂敷包みを持って歩きながら1人でにやける私を皆さんどうか冷めた目で見ないでほしい。
だってしょうがないじゃん、シカマルに「弁当、マリナに持ってきてほしい」って言われたんだもん。そう言った後、顔を真っ赤にしたシカマルが可愛くてつい笑ったら「笑うなめんどくせぇ」っておでこを小突かれた。そんでもっと言えば、後でこっそり話を聞いてたサツキさんにシカマルがからかわれて大変だったらしい。めんどくせぇって何回も言ってたなぁ。
「失礼しまーす」
こんこん、とノックをして執務室の隣にある資料室に入る。向かって一番奥の机にいる大好きな人は疲れてるのかおでこを机に引っ付けて寝ちゃってる。
「お、マリナじゃないの。差し入れ?」
「カカシさん、お疲れ様です。まぁそうなんですけど…」
「お疲れさん。俺もさっき来たところなんだけどこの通り爆睡しちゃってんのよ。こりゃちょっと頼みすぎたかな」
そう言う苦笑いのカカシさんの視線を辿ればシカマルの周りに壁を作るようにある大量の書類。「こいつ仕事が早いからつい、ね」と頬を掻くカカシさんをジロリと睨んだ。
「もう、最近シカマルの隈が取れないんですからね。ちょっとぐらいお休みくださいよ」
「…善処します」
バツが悪そうにそそくさと出て行く我らが長を見送ってため息をついた。
風呂敷包みをそっと隣の机に置いてシカマルを揺する。こんなところで寝てちゃ風邪引いちゃうよ。
「起きてシカマル」
「…」
「お弁当持って来たよ。ほら、起きてよ」
「…」
「シカマルー」
「…」
「お弁当食べちゃうよー」
「…」
「…えい」
「いってぇ!!」
思いっきりほっぺたをつねってやると飛び起きたシカマル。
「ってぇなオイ。もうちょっとマシな起こし方あんだろ」
「ウソ寝してた人に言われたくありませーん」
「…バレてたか」
「当たり前でしょーが」
バツが悪そうに笑うシカマルのおでこを小突いて笑った。
大切だから幸せになってほしくてさよならしようとしたこともあったけど、
それでもやっぱり、私はこの人の…シカマルの隣がいい。
まわり道の果てに
いちばんのだいすきをみつけた
fin.