04





久しぶりに入ったシカマルの部屋。ふわっと香るシカマルの匂いも久しぶり。
もう来ることはないと思ってた場所だからどうしたらいいのかさっぱりわかんないからとりあえずシカマルの言う通りベッドの前に腰を下ろしてまっすぐシカマルを見た。


「…昨日のことなんだけどよ」
「…うん」
「サツキは、さっきあいつが言った通り俺の従姉妹。任務で三年里を出ててつい昨日帰って来た。そんで従姉妹だから、別になんとも思ってねぇ」
「…うん」
「昨日お前を見かけたときは、その…」
「…」
「…ちょうど会いてぇと思ってたから、まさかと思ってびっくりしてよ」
「!」


照れ臭そうに耳を真っ赤にしてそっぽを向いて首を掻くシカマルに目を見開いた。
シカマルが、私に会いたかったの?本当に?サツキさんが言ってたみたいに?


「俺あんまこういうこと口に出して言わねぇけど、」
「…」
「…おまえのこと、すげぇ好き…なんだわ」
「!」


今度は顔まで真っ赤にしてそう言ったシカマルに驚きが止まらない。
そしてそんなシカマルにつられて私の顔もどんどん熱くなっていって。


「おまえといるときもいろんなこと考えててよ。おまえが何してぇのかとか、どこ行きてぇのかとか、何が欲しいのかとか、いろいろ」
「…うん」
「だから、その…多分、すげぇ愛想悪ぃ感じになってると思う」
「そうだね」
「…やっぱな」


そう言って自嘲気味に笑ったシカマル。なんだかすごく切なそう。


「雑務も山みてぇにあるからあんま帰れねぇし、お前とそんな一緒にいらんねぇし、さみしい思いさせてることもわかってる」
「うん」
「んでも、お前が作ってくれた飯食ったり栄養剤飲んだりしてっと、その…」
「うん」
「…あ、愛されてんなぁって、思ってよ」


よかった、迷惑じゃなかったんだ。ちゃんと私の気持ち伝わってたんだ。
シャイで不器用なシカマルがそれを伝えようと必死で考えてくれてたから返事が上の空だったんだってことがわかって、不器用なりに頑張って伝えてくれたんだから私もちゃんと思ってること言わないといけないなぁなんて思ったりするわけで。


「ありがとう、シカマル」
「…」
「さっきはごめん。勝手に浮気だって決めつけて別れようとした」
「…おう」
「私もね、本当は不安だったんだ」
「…?」


まだほんのり赤い顔でなんで?って表情になるシカマルがあまりに可愛くて思わず笑った。


「…んだよ。何が不安なんだよ」
「シカマルはさ、頭も切れるし強いし人望もあるじゃん?でも私は平凡。私ぐらいの人ならどこにでもいるし、そんなどこをとっても普通な私だからシカマルが飽きちゃったんじゃないかなって思って」
「…」
「でも、そう思うことじたいが間違ってたんだよね」
「…」
「ごめんね」
「!」


そう言いながら真っ正面に座るシカマルに抱きついた。肩に顔を埋めながら大好きな安心する匂いで肺をいっぱいにする。
やっぱり久しぶりだ。この匂いとこの温かさが一番安心できる場所。


「シカマルはちゃんと私のこと考えてくれてたのに、私は自分のことしか考えてなかった」
「…んなことねぇよ」
「でも、これからはシカマルのことちゃんと考えるって約束する。…シカマル」
「…あ?」


「大好きだよ」
どう転ぼうと、どんなことが起きようと私の中にあったのはシカマルが好きだってそんな気持ちだけで。シャイで不器用で無愛想だけど、たぶんこれからも表情には出ないけど心の中でちゃんと想ってくれてるってわかったから。もう、大丈夫。


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