02





昨日は結局ご飯も食べずにひたすら泣いた。泣いて泣いて、やっぱりシカマルのことは忘れることにした。それがいつになるのかはわからないけど、でもその方がお互いのためだと思うことにした。

そのことをシカマルに伝えようと、今シカマルの家の前にいる。
ばくばくとうるさい心臓に気づかないふりをしてふーっと息を吐いて震える指でインターフォンを押した。何度も来たシカマルの家だけど、今日で来るのも最後だと思うとなんだか寂しい。


「だれぇー?」


そんな声と一緒にガラガラと開いた扉から気だるそうに顔を出したのは昨日シカマルの肩に寄りかかってた女の人で。
あぁなんだ、やっぱりそうなんだ。シカマルはこの人と…。


「サツキ、誰だった…!」
「ん?知り合い?」
「マリナ…」


欠伸まじりに顔を出したシカマルは途端に固まった。きょとんとするサツキさんって人に精一杯の笑顔を向ける。


「朝早くにすみません。ちょっとシカマルくんに話があって」
「あ、そうなんだ。じゃあ、あたし中入ってる…」
「…いえ、そのままで」
「?そう?」


今シカマルと二人きりにはなる勇気はなかった。
たとえそれがシカマルの本命の人だとしても、誰かがいてくれる方が何かといい。

ふーっと息を吐いて気持ちを整えてから、真っ直ぐシカマルを見た。


「シカマル」
「マリナ、その…」
「今までありがとう」
「!」


もごもごと何か言おうとしたシカマルの言葉を遮った。言い訳しようとしなくてもいいんだよ。シカマルが幸せならそれでいい。


「今までなんかごめんね、私うざかったよね?」
「…いや、ちょっ、」
「もう何もしないからそれで許してくれないかな?もうシカマルと関わったりしないから」
「待てマリナ、話を…」
「ごめんね何も気づかないで。今まで本当にありがとう。それじゃあ、さよ…」

「ちょっと待った!!」
「!」


さよならと、そう言おうとした私を遮ったのは他でもないサツキさんって人で。大きくため息をついたと思えばがしがしと頭をかいてシカマルみたいなめんどくさそうな顔をしてる。


「ね、あんた何か勘違いしてない?」
「…勘違い?」
「あんた、あたしがシカちゃんと付き合ってると思ってるっしょ」
「…」


えぇ、そうですよ。だから私はこうしてお別れを言いに来たんだから。


「それ、大きな大きな間違いだから」
「…?」
「あたし、こんなやる気もクソもないやつ好きじゃないし。もっとこう、ゴツゴツした感じの男っぽい人が好きなんだよね」
「……??」
「そういえばまだ名乗ってなかったよね」
「…」
「あたし、奈良サツキ。こいつの従姉妹ね」



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