「あ、あんたまだ煙草吸ってんの?いつもやめなさいって言ってるじゃない」
「うるさいよサクラ。別にいいじゃん」
「そんなんじゃ男なんて寄り付かないわよ。ねぇサクラ?」
「あんたはただでさえ出会いが少ないんだから」
「別に求めてませんそんなこと」
やれ女の子なのにだ、やれだからあんたはモテないのよだといろいろ好き勝手言ってくれる二人にため息まじりに煙を吐き出した。
「で、でもねミチルちゃん」
「ん?」
「自分にとって一番大切で、そして大好きな人といられるって、本当に幸せだよ」
「…そっか」
「ミチルちゃんにも、早くそういう人が見つかるといいね」
さっきからかわれた名残のまだほんのり赤い顔でにこっと笑うヒナタにそうだね、と返した。
好きな人かぁ。あたしのタイプって一体どんな人なんだろう、それすらわかんないや。恋愛なんて別に興味ないし何より強くなることしか考えてこなかったからなぁ。
そんなことを考えているとき頭によぎったのは、なぜかあたしと同じあのやる気のない猫背で。
あいつがあたしのタイプ?いやいや、ないないあんなやる気ないやつ。まぁ頭が切れるのは認めるけど。めんどくさがりだけど世話焼きだし、仲間としては絶対の信頼を置いてる。なんなら暗部のあたしの補佐にほしいぐらい。それに黙ってれば顔も、まぁ悪くは、ない?
気がつくとシカマルのことばっかり考えてる自分がいて思わずビールを流し込んだ。
*
「っあー、やっと寝れる…」
宣言通りあのあとサクラといのに質問責めにされてなんとか解放されたのは日付が変わった頃。夕方に始まった飲み会も、終わりに近づくにつれて泥酔状態になった二人の介抱をあたしとヒナタでやってた。そんでヒナタにサクラを任せてあたしはいのを送ってってやっと待ちに待った眠りの時間。
「すんごい眠いしなんかどっと疲れた…」
枕に顔を埋めてぼそっと独り言ちる。
ああ、なんかだるいしもうお風呂も朝でいいや。着替えるのもだるい。いやでもそれぐらいはどうなんだ。できる?…いやめんどくさいな。あ、シカの口癖うつった。
うとうとしながらそんなことを考えてるとやっぱりそのまま意識が遠のいてくる。
「…おやすみ」
誰もいない部屋に、静かなあたしの声だけが響いた。
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