木ノ葉の女子が集いました

「ああっ!見つけたわよミチル!!」
「…げ、」


久しぶりに夕方に雑務が終わってのんびり帰ろうとしたら聞こえた声。
恐る恐る振り返ると、鼻息荒くどすどすと歩いてくる二人の姿があって。ああ、だるいのに見つかった。今日こそはゆっくり寝ようと思ってたのに。


「あんたねぇ!なんでこんなに会えないのよ、おかしいでしょ!」
「いのの言う通りよ!ずっと探し回ってんのよこっちは!」
「…知らんし」
「最近付き合い悪いんじゃないの!?ずっと暗部棟に籠りっきりだって聞いたけど!」
「暗部のことに関しては何も言えないからね、いの」
「そんなことじゃないの!とにかく行くわよ!」
「早くしなさい!」
「え、は?行くってどこに?」

「「焼肉Qよ!!」」


がっつり両サイドをホールドされて引きずられるように焼肉Qへ強制送還。あたしに平穏な日なんて訪れるはずもなかった。あああ、また寝れないよダレカタスケテ。


「さぁ!まずは乾杯しましょ!」
「「かんぱーい!」」
「…かんぱい」


キンキン、とビールジョッキがぶつかる音が響く。
この音だけ聞いたらまさか二十歳そこらの女三人から出る音だとは誰も思わないだろうな。きっと仕事終わりの腹がぼてっとした中年の親父たちから発せられる音だろうし。…そんなことより早く帰りたい。


「それで?あんた最近何してたのよ」
「だからずっと暗部棟にいたってば」
「はァ…あんたそれでもハタチの女の子なわけ?恋愛とか興味ないの?」
「まぁいの、ミチルにそんな浮いた話聞くほうが間違ってるわよ。この子は愛だ恋だより任務だ修行だって子なんだから」
「そりゃそうだけど…でもやっぱり気になるじゃないの!ほら、暗部ってイケメン多いって言うし!」


いやそっちかよ。そんなことだろうと思ったけど。そんでわかってるなら聞くな。
相変わらずきゃぴきゃぴした女の子らしい会話を持ちかけてくるいのにため息をついた。サクラの言う通りそんなことをあたしに聞く方が間違いだって。それに暗部にそこまでイケメンいないし。面で顔隠してるからそう思うだけだって何回言ったらわかるんだろう。

二人がぎゃーぎゃーと話しているのを冷めた目で見ていると「ミチルちゃん?」と微かな声が聞こえて振り返ればそこにいたのは久しぶりな顔。


「おーヒナタ。久しぶりじゃん」
「うん。元気だった?」
「おかげさまでぼちぼちやってますよ」
「いいところに来たわヒナタ!あんたもこっち来て座りなさいよ!女子会よ女子会!」
「今からミチルを問い詰めるところなの」


問い詰めるっておいサクラ。あたしは早く帰ってあったかい布団にこんにちわしたいんだけど。満面の笑みでなんつー物騒なこと言ってんだ。
まぁそんなことを望んだところでこの二人が逃がしてくれるわけもないから、げんなりしながら「ヒナタもおいでよ」と席をつめる。「ありがとう、ミチルちゃん」と困ったように笑うヒナタも混じって四人で改めて乾杯をした。


「あ、そうだヒナタ。ナルトとはどうなの?」
「え!?べ、別に…普通だよ」
「へぇ〜普通、ねェ」
「私、最近やけにナルトからヒナタの話聞くのよねェ」
「私もよ、いの。今日のヒナタも可愛かったってばよォーとかね」
「ちょ、ちょっといのちゃん、サクラちゃんも…」


そんな会話を聞きながら肉をビールで流し込む。
へェ、あのナルトがねェ。そういえば、一年ぐらい前に月が落ちてくるだなんだあってその任務から帰って来たナルトとヒナタがくっついてたって話だったっけ?ずっとヒナタがナルトのことが好きだって知ってたからシカからそれ聞いてよかったなぁなんて思ったなたしか。でも、そういえば聞いたことなかったっけ。


「ヒナタってさ、ナルトのどこが好きなわけ?」
「…え?」
「強いしいい奴だってことはもちろん知ってるけど、あいつ普段相当抜けてるっしょ。ラーメンのことばっかだし、まずバカだし」
「…たしかに。改まって聞いたことないかもね。どうなのヒナタ!」
「そ、そんなこと急に言われても…」
「さっさと答えちゃった方が楽になるわよ〜?」


もじもじとするヒナタにいらんこと言ったかもと心の中で後悔した。
…ごめん、ヒナタ。完全に二人のスイッチ入れちゃった。いのもサクラもこんな良いネタ逃すかって獣みたいな目でヒナタのこと見てるし。ああ、マジでごめんヒナタ。


「…な、ナルトくんってすごく真っ直ぐで、それに絶対諦めないでしょ?そ、そんなところがだっ大好きで…っ」
「キャー!ヒナタ可愛い!!」
「ほんっとナルトにはもったいないわよ!!」


真っ赤な顔でそう答えるヒナタに贔屓目なしに可愛いななんて思って。
サクラじゃないけど本当にナルトにヒナタはもったいない。こんなにいい子を泣かしたら絶対ぶっ飛ばすから覚えとけよナルト。そんなことを思いながら、でも大切な仲間が幸せそうな光景を肴に飲んだビールは美味かった。




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