これがあたしの生きる道

「失礼します。あと数刻で砂のタスキ殿がご到着とのことです、ご準備を」
「わかったよ」


連絡忍が去ったのを確認してだらん、と椅子にもたれる。
ああ、眠い。とてつもなく眠い。外は気持ちいいぐらいの晴れで最高の昼寝日和だってのになんで会議なんか出なきゃなんないの?ああ、マジでだるい。…サボっちゃダメかな。


「ミチルさん、ちょっと気を抜きすぎじゃないですか?砂のタスキ様は気難しい方だってあなたが一番よくご存知でしょう」
「そんなこと言ったってしょーがないじゃん、眠いんだもん。それにタスキのおっさんなら大丈夫だって。ちょっとぐらい遅れても許してくれるさ」
「何言ってるんですか!いくらタスキ様があなたを買ってると言っても限度ってものがあります!ほら、時間は待ってくれないんです早く行きますよ!」
「…アホサツキ」
「なんか言いました?」


…相変わらず地獄耳だなこいつ。ま、ここでだらだらやってても仕方ないし、里のためにいっちょやるか。
うーん、と伸びをしてその勢いで立ち上がる。そのまま愛用の黒い上着を羽織って首をコキコキと鳴らしスイッチを切り替える。


「さて、行きますか」
「はい」


――木ノ葉隠れの里、暗殺戦術特殊部隊。
そこがあたしのいるところ。もっと言えばその中でも“総隊長”なんて大層な肩書きがついてんだけど。

こんなちっぽけなあたしの肩には数えきれないほどの木ノ葉の精鋭たちの命が乗っかってる。だから生半可な気持ちでやってらんないってのが正直なところ。

普段はやる気なんて皆無、隙あらば居眠りをこくこのあたしにも火の意志があって。木ノ葉と仲間は絶対守る。そう心に誓ってる。


「待たせてごめん、タスキのおっさん」
「構わんミチル、始めるか」


だけど正直、総隊長を打診された時には驚いたっけ。なんであたしなんだって、こんなどこの馬の骨かわかんないあたしなんかよりもっとふさわしい奴がいるだろって。けど、「お前しかいない」なんてあの人たちに言われちゃ断るなんてできなかったわけで。

この里の現火影はたけカカシと先代火影である綱手には、一生かかっても返しきれない恩がある。


「それでは、砂隠れ木ノ葉合同暗部総隊長会談を始めます」


あたしに居場所をくれた綱手姉と、生きる意味をくれたカカシ兄のために。こんな得体のしれないあたしを仲間だと笑いかけてくれたみんなのために。


あたしは、里の影として生きる。





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