01
「そんじゃ、柱間、マダラ、いってきます!」
「おう、気を付けるんぞ、ナマエ。道端の石ころには特に」
「道中、茶店や宿屋に無意味に寄り道して約束に遅れるなよ」
「……私を何だと思ってんのあんたら」


へらへらと笑って言う柱間と、至極真面目な顔をして言うマダラの二人に向けて笑顔と一緒に殺気を振りまきながら握り拳を作れば、二人は一斉に「ごめんなさい」と頭を下げた。これが里のツートップなんだから本当に大丈夫なのか?
呆れた息を吐いてから、もう一度「いってきます!」と笑えば、今度は満開の笑顔の柱間と、きっと口角を上げたマダラに見送ってもらって木ノ葉隠れの里を出た。


この里は、柱間とマダラと一緒に作った大切な里。
これからの時代を平和にするため、これ以上の犠牲者を生まないために。


『ここに集落を作ろう!』
『集落?』
『なにそれ、おもしろそう!』
『子供が戦わなくてもいい世界だ。色んな一族が皆手を取り合い、仲間になるんだ!』
『そんなことができるのか?』
『できるよ』
『本気かよ、ナマエ〜』
『私たち、三人だったら、きっとできる!』


大好きで大切な、この世でたった二人の親友の夢のために。
三人で描いた理想を、夢を、形にするために。

今日私は、火の国の大名に会いに行く。


「…でも、大丈夫かな」


頑張らなきゃと思いつつ、二人の姿が見えなくなった途端、不安に襲われる。
本来なら里長の“火影”である柱間か、それと同じくらいの立場にあるマダラが行くのが筋なんだけど、二人とも里と一族それぞれのトップだからそう簡単に里を出るわけにもいかず、二人の意見の一致で、創始者の一人って言われてる私が代わりに行くことになったんだけど。

あの二人の強さは、親友である私が一番知ってる。
忍の一族の中でも最強を二分すると言われる千手とうちは、そのトップ。まぁ、正直実力だけなら私も負けてないとは思ってるんだけど(実際二人と時々やってる勝負も何回か勝ってるし)。そんな私たち三人は、実しやかに“忍の三神”なんて呼ばれてるらしい。照れる。

……いやいや、照れてる場合じゃないでしょ私。これから火の国の大名様に会いに行くんだよ。

あの二人が絡むとどうも気が抜けていけない。しっかり引き締めないと。今日は木ノ葉隠れの里の代表として行くんだから。あの二人の顔に、名前に、泥を塗るわけにはいかない。


「…ぃよし!いっちょやりますか!」


胸元の風呂敷の中にある柱間、マダラから連名の入った手紙に手を当てて両頬を両手でぱちんと叩き、気合を入れなおして旅路に着いた。



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