所詮は独り善がりの告白


ずっと、ネジが好きだった。もう覚えていないような子供の頃から、ずっと。
私はいつかきっと、ネジと恋人になって、ネジと結婚するんだと信じて疑ってなかった。幼なじみだし、私にはネジしかいないし、ネジにも私しかいないって、そう思ってた。


――だけど。


「おい、帰るぞ」
「う、うんっ」


ネジの隣には今、私じゃない、女の子がいます。




どれだけ経っても慣れない、ネジと彼女の後姿を見つめながら、ぐっと唇をかんだ。


私の方が、あの子よりもずっと昔から、ネジのことが好きなのに。
ずっとずっと、ネジのことしか見てこなかったのに。

なんでネジは、私じゃダメなんだろう。
なんで、あの子がいいんだろう。


考えても考えても答えが出なくて、高を括って気持ちを伝えなかった自分が悔しくて。
ついに小さくなったその二つの背中を見つめながら、ひらり、涙が頬を伝った。


「…ネジ…っ」


ネジが中忍になれば、私も続いた。
上忍になれば、私もなった。

日向みたいに木ノ葉の名のある血筋ではない、才能も平凡な私は、正直すっごい努力をした。

ネジに追いつきたい。
ネジの隣にいたい。

照れくさくてネジには言ったことはなかったけれど、私が何をするのも、ネジがついてまわった。


いつか、ネジと恋をして。そして結婚して。
ネジに似た生意気だけど優しい子供を腕に抱いて、ネジと笑い合う。


そんな未来が当たり前なんだって、そうなるべくして私たちは出会ったんだって、そう、思ってたのに。


「…っ」



ねぇ、ネジ。
貴方は今、幸せですか?
ちゃんと、幸せを感じられていますか?

もしそうなら、私はもう、何も言いません。
これ以上貴方を追いかけないし、一緒にもいません。

でも、最後にひとつだけ、我が儘を言わせてください。



まだ、貴方を好きでいても、いいですか?





fin.
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