「知ってる?第一部隊の……」
「あぁ、死神か。そう言えばこの前、一人死んだんだってな」
「そうそう、ソレからあの化物なんだけど……」
騒がしいエントランスに足を踏み入れるといつもの噂が聞こえる。
生憎ソイツらは聞こえていないとでも思っているのだろう。
オレの人間離れした聴力など知りはしないのだから。
「クソッタレが……」
そう吐き捨てれば誰かに手を引かれるのが分かった。
反射的に振りほどこうとしたが、ソイツの握力は意外に強いらしい。
オレでも振りほどけないヤツは1人しかいなかった。
ソレも同じ部隊で長い付き合いの。
「何の用だ、マシロ」
「……」
振り向けば見慣れた無表情。
その視線はオレではなく、未だに噂話をしているヤツらへと向いている。
相変わらず何を考えているのかわからない。
ソレはある意味ではいつものコトだ。
いつものコトに過ぎないのに。
「……ソーマ」
「何だ?」
「ソーマは、死神……じゃナイ」
不意打ちだった。
思わず目を見ひらけば相変わらず無表情のマシロ。
掴まれていた手が放される。
「何の、つもりだ?」
「……ドコかのダレかからの伝言……かも」
オレは化物でいいケド。
ポツリポツリと取り留めもなくそう呟くマシロに軽く眩暈がした。
オマエ、何言ってんのか分かってんのか。
そう言いたい声すら出てこない。
結局カレはしばらくポツリポツリ話してから端末を確認して言った。
「……暇なら、手伝って」
見せられた書類。
山のような任務。
コイツはいつまでたっても相変わらず……
「テメェ、バカだろ」
「……何が」
「チッ……しゃあねぇ。付き合ってやる」
「……ん」
読めないカレに思わず笑った。
オマケ
マシロ:ソーマ、笑った……?
ソーマ:笑ってねぇよ。
マシロ:……少し、嬉しそう……。
ソーマ:チッ……
マシロ:舌打ち、ダメ。印象、悪くなる。
ソーマ:……ソレはダレからの受け売りだ?
マシロ:リンドウ……?
ソーマ:(あのクソッタレがっ!!)
終わり