「あ、キミキミ!!」
「……はい?」
特になんの変哲もない昼間のコトだった。神機保管庫で呼び止められて何気なく振り向く。
ソコにはどう見ても整備士のようなヒトがコッチに走ってくるトコロだった。
……面識はナイと思う。
と言うか、ナイはずだ。
「えっと……初対面ですよね?」
「そうだよ。キミ、新型適合者の子だよね?ワタシは楠リッカ。整備士だよ、よろしくね」
「……はぁ……オレは第一部隊所属になりました朱瀬リオです」
差し出された手を握ればカノジョは「敬語はナシでいいよ」と笑った。
少し気楽な人だなと思いつつ手を放して自分の神機へ目を向ける。
するとリッカはオレの隣へ並んだ。
「キミの神機はちゃんとバランスよく使われてて安心したよ」
「ソレはどういう?」
「現在新型神機使いって何人いるかは分かってるよね?」
心底楽しそうなリッカに苦い表情になる。
確か新型神機使いはオレとマシロの二人だけ。
だとすればカノジョが気にしているのは……
「もしかして、マシロの戦闘スタイルが気になってるのか?」
「正解。マシロ君って剣形態ばかり使ってるんだ。銃を使ってるトコロを見たヒトはほとんどいないんじゃないかな?」
「ちなみに盾のダメージもほとんどないよ」と苦笑い気味のリッカ。
確かにとしか言いようはなかったりする。
そもそもオレは同行人がどうもバランス良すぎてどちらかに偏るコトはほとんどナイ。
ソレに比べ、マシロは一人で任務に行くコトが多い。
そりゃ偏るワケなのだが。
「どう足掻いても変わる気がしないんだけどな」
「あれ?キミってマシロ君と任務行ったの少し前に一度だけだよね?」
「……いや、オレ……」
アイツの捜索任務にいつも借り出されてますが何か?
そう言いかけた言葉を飲み込み、苦笑いする。
「どうかした?」
「いや、なんでもない」
どうせ言っても意味の無いコトだから。
「それじゃ、整備よろしく」と軽く手をあげて保管庫を後にした。
何を言っても変わらない。
ソレが例え神機のコトであっても。
「……」
ちなみにアイツが銃を使ったら困るのはココのヒト達だというコトは言わないでおこうと思った。
終わり