Chapter.19 1/7
ロッタが牢屋に作った穴を降りると、少しだけ人工物の見られる洞窟にでた。
ルリ島の地下には似たような洞窟が多い。ここがどこなのかはさっぱり分からない。
洞窟内は行き止まりのように見えたが、小さな横穴があったのでそこから奥へ進む。
どうやらいくつかの部屋のような洞窟が小さな通路で繋がっているようだ。
へくちっ!
…今のはマナミアのくしゃみだ。可愛いくしゃみだな…。
「ここ、冷えるね。」
「奥はもっと寒そうだ。大丈夫か、マナミア。」
「えぇ……。」
「…っくしゅ!」
私までくしゃみが出てしまった。恥ずかしい。どうせならマナミアみたいな可愛いくしゃみがしたい。
「エマも…大丈夫?」
「う、うん……っくしゅん!」
「なんか着る物でもあればいーんだけど。おい、エルザ。そのコート貸してやれよ。」
「大丈夫だよセイレン。それにユーリスが温めてくれるよね?」
「は!?な、何言ってるの!?」
「フレアサークルの中なら温かいもの。」
「あ、あぁ…。いや、そんなに頻繁に魔法なんて使ってたらすぐに疲れるよ。エマだって知ってるだろ…。」
「む……仕方ない、我慢しよ…。」
どこまで続いているか分からない以上、ユーリスの火力を失うのは避けたい。
動いてればきっと温まるはずだよね。
2つ目の横穴を抜けると、微かに魔力を感じる泉が沸いていた。
「この泉は不思議な力で満たされているようですね。う〜ん、牢屋暮らしで溜まった毒が癒されていく〜。」
ロッタが近づき、そんなことを言っていた。
どうやら治癒の効能があるようだ。
「ロッタ!」
と、エルザが泉にいたロッタへ体当たりすると同時に、上から蜘蛛型の魔物が落ちてきた。
「怪我はないか!?」
「わわわわっはい!助かりました!」
冷えた体を温めるのに丁度いい敵だ。
エルザがロッタを部屋の隅へ連れて行くのを横目に見ながら、セイレンと共に蜘蛛へと走った。
魔物の攻撃を受け流していると、頭上を火球が飛んでいき、地面に綺麗なサークルを作る。
「……あー、温かい…。」
「温まりますわねぇ…。」
「……ちょっと2人とも、戦ってよ!」
「でもこれを待ってたんだよ…。ね、マナミア?」
「えぇ。助かりましたわユーリスさん。」
「エマ…マナミア……。」