Chapter.18 1/3


私達が連れて行かれた牢屋内には、すでにセイレンとジャッカルがいた。
二人の無事を喜ぶのもそこそこに、現状が理解出来ていない彼らにエルザ達が事のあらましを説明している。

私はというと、壁際に座って大人しく彼らの様子を観察中。
説明するだけなら、私が参加する必要もない。というより、やっぱり関わりにくいというのが大きかった。
どうにか牢から出れたら、このまま彼らと距離を置くのも悪くない。




「すまない、結局皆を巻き込んでしまった。」

「お前のせいじゃないさ。いざとなりゃあこんな牢ぐらい…」


どうやら説明は終わり、何やら不穏な方向いきそうな感じだ。
だが、それはさすがにクォークが黙っていなかった。


「おい、まだ早まるな。伯爵もジルの言い分を頭から信じているわけじゃあるまい。だが大事な婿どのの訴えを無下に退けるわけにもいかない、というところだろうな。」


そんな推測を話したところで、牢の前に衛兵がきてクォークに伯爵からの召集を告げた。


「ほらな。俺がなんとかするから大人しく待っていてくれ。」


そのままクォークは衛兵に連れられ牢から出て行った。
複雑そうな顔で見送るエルザが痛々しい。自分の無力さが腹立たしいのか、単にカナンが心配なのか、カナンの名前を呼ぶ小さな声が聞こえた。





クォークが連れて行かれると、牢屋内が一気に静かになった。
疲れもあるだろうが、やはりこの傭兵団はクォークの存在が大きいようだ。
だがその静寂も長くは続かず、再度衛兵がやってきた。
今度はエルザだ。召集ではなく取調べらしい。
…拷問とか、あるのかな…。

皆もそんなニュアンスを汲み取ったのか、心配そうにエルザを見送った。
取調べにジルとやらが出てくるなら、何かしらされかねない気がする…。
何事もなければいいのだけど。




二人減っただけでも、牢屋内が少し広く感じた。
マナミアは同室(?)の囚人の手当てをしている。あの人もジルに無理矢理牢屋に押し込まれたのだそうだ。
もう一人の囚人は壁際でなにやらゴソゴソとしている。不穏すぎてあまり関わりたくない…。


皆はまた黙ってしまったので、辺りが静かになった。聞こえるのは巡回する衛兵の足音と壁際の囚人の音ぐらいだ。
あのセイレンでさえ大人しいのは意外だった。
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