ジューンブライド
「…カナンのウェディングドレス姿、綺麗だったなぁ〜」
酒場の1階の隅で本を読んでいたら、いつの間にか彼女が隣に来てそんなことを呟いていた。
先日、エルザとカナンがひっそりと結婚式を行った時のことを言っているのだろう。
「何?…まさか、ウェディングドレスを着たいの?」
「そりゃあ、女の子の憧れですもん。当たり前でしょ!」
いいなぁいいなぁ…とぶつぶつ言いながら、彼女は酒場のテーブルに突っ伏した。
「そんなに焦らなくても、まだ時間はたっぷりあるでしょ。」
「へへっ…まぁね、まだ若いけどね。」
遠まわしに言った言葉に、彼女は少し気を良くしたようだった。
…単純、なんて思ったことは口にしない。
「…で、なんで僕にそんなことを言うのさ。ドレスなんて用意できないよ。」
「…ん?別に、いいよ。ただ…」
相手はユーリスしかいないだけー
なんて、彼女がハニカミながら言うものだから。
今度カナンとエルザに頼んでみようと、本気で考えてしまった。
*
6月だったので、ウェディング(ドレス)ネタ