会えない時間が愛を育むものだ。
昔読んだ何かで聞いたことがあるが、果たしてそうなのだろうか。

まぁ、大人なんだから会えない時もあるし、会える時もある。
割り切っていかないといけないのも大人というものだ。

でも会いたいなぁと思うのはこの少し寒くなってきた時期のせいか。
それともおでんを置きだしたコンビニの匂いを嗅いでしまったせいなのか。
答えは分からない。

便利な世の中になったんだからメールや電話をすればいい。
それなのにどうしても自分からするのはいつも悩んで結局しないまま。

そんなもやもやを抱えながら今日も1人コンビニ飯。
かごに適当にすぐ食べれるもの、いつも飲むドリンク剤、そして目に付くもの。

以前私の家に来た時になんとなく嬉しそうに食べていたプリンを見る。
そしてそれもかごに2つ。

買ったあとの自分に苦笑する。
今日くるかどうかも分からないのに。
そんな事を思いながら帰宅の途へ。

「あ、来てたんですか。」

もはや自分の家のようにくつろぐ彼氏こと真島さん。

「相変わらず遅いんやなぁ。」

そう話しながら私は買ってきたものを冷蔵庫に。
真島さんはそっと覗き見て、この前のやつあるやんか!と嬉しそうにしている。

「今、食べますか?」

「いや、ええわ。あとで。」

そうですかと話しながら冷蔵庫に入れる。
じゃあ、私は晩御飯を食べようかなと思いながら電子レンジの中に買ってきたものを入れる。

「真島さん、何してるんですか!」

電子レンジを見ている私の背中を抱きしめられる。

「プリンの前に椿を頂いておかんとあかんやろ。」

あの、私の晩御飯は…?
そう思いながらもすでに首元に落とされたキス。
勿論拒める筈もなく、そのままされるがまま。

出来上がるレンジの音を気にしながらも、私は真島さんのキスを受け止める。
もう、今日はプリンだけでいいか。
そんな事を思いながらそっと目を閉じた。

10.駅前のコンビニ




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