大人の階段@




「少し休憩してもいいですか?」



鍛錬の最中自分から休憩したいと言ったのは初めてかもしれない。いつも通りカインさんに槍と剣の稽古をつけてもらっていたがどうにも耐えきれなくて声をかけた。



「どうした。座るか」
「すみません、背中が痛くて…」



カインさんの言葉に甘えて地面に座り込む。痛む背中と腰を撫でた。
最近僕の体は急激に身長を伸ばしていた。ぐんぐんと日を追うごとに伸びていく身長に体が追いつかないのか背中や手足が痛む。まだまだ伸びるつもりらしい体は嬉しいがこうも急激だと戸惑いも大きい。



「セシルも長身だしローザも女性にしては背が高いからお前もまだまだ伸びるな。俺くらいになるかもな。」
「背が伸びるのは嬉しいですけどすごく体が痛みますね。」
「それは俺も過去に味わったな。背中を向けろ」



揉んでやろうとの言葉にありがたく背を向ける。ギシギシと軋むような体に絶妙な力加減の彼の手が心地いい。



好きですと想いを告げてからしばらく経つが彼の態度は全く変わらなかった。彼から触れてくることは無かったし僕が一歩引いてみても変わりはなかったからどうとも思っていないのかもしれないけど少なくとも嫌がられてはいないしキスやハグなど僕が触れるのも拒まない。彼の気持ちはわからないけれど惚れさせてみろと言われたのだから今は僕の想いの方が強いのは仕方がない。彼に受け入れてもらっているだけでも御の字だ。



それはともかく師匠に揉ませるのはどうなんだ?とも思ったけど動くなとの彼の言葉におとなしく体を預けた。



「あ。」
「…すまんな。」



後ろにいる彼の髪の毛が風に踊って頬を擽る。鬱陶しそうに髪を掻き上げる彼を笑うようにふわふわと金の髪が僕の両頬を撫でていってくすぐったさと気持ちよさに痛みで強張っていた体から力が抜けていくのがわかった。
頬を擽る髪を手に取れば背中から静止の声がする。構わずに抱き込んだ髪を鼻元に近づければおよそ男性のものとは思えないほどとてもいい香りがした。



「引っ張るなセオドア。」
「もっと近づけば大丈夫ですよ」



言って軽く髪を引き寄せてカインさんの頬に頬をくっつける。拒否されないのをいい事に首元に擦り寄る。体は痛むけれどカインさんとの距離が縮まるなら耐える価値は充分だなぁと思った。










ーーーーーーーーーーーー

「貴様揉んでやってるのになにしてる」
「ごめんなさい!」












人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -