うそだ、嘘だ嘘だうそだ。うそ、だ。
ウィンガルが、リィンが、私を好きなんて。嘘、そう嘘に決まってるんだ。淡い、淡い恋のようなあの感情を抱いてた私はもういない。けれど、まさか。
「や、やだ、冗談やめてよね」
「冗談で、言っていると思うのか?」
黙るしか、ない。リィンが冗談でこんなことを言うはずはないからだ。リィンは、いつも、真面目だから、だから。直視できなくて、俯く。なにも言えない。
「いつか、言うつもりだった。お前が、俺を好きだと言ってくれたら、言うつもりだった」
「私は、アルヴィンが…!」
「知っている。何故、あいつなんだ」
「わからない、わからないけど…独りにしたくないの、傍にいて、支えたい」
だって、あいつ寂しがり屋だから。自然と浮かんだ笑みにウィンガルは眉を寄せる。大切な、愛おしい女を見つめる瞳は、熱く、そして甘く。
「リィンの気持ちには応えられないよ。私は、アルヴィンが好きだから
これだけは、絶対に」
揺らがない。
伝えるとウィンガルは溜息をついてアミュレインを見つめた。その目はどこか悲しげで、ごめんねと心で叫ぶ。大好きだけど、それは恋じゃない。
「私、明日プレザ達について行く」
「…それはさせられない」
「どうして?アルヴィンに会いに行くんじゃないわ、プレザ達に加勢するの」
二人は強い、けれど女なのだ。それにプレザは接近戦が得意ではない。前衛に私がいれば、まだ楽だろう。
「お前は、奴らを殺せない」
「そんなのわからない……うぅん、殺すわ。それがガイアスの、陛下の望みなら」
だって、私はガイアスのために生きていて、ガイアスの側近で、ガイアスは家族だから。
アルヴィンが好き。それは変わらないし、アルヴィンがプレザ達と一緒に戦うのなら、私は迷わない。迷ったり、しないんだから。
「だから、行かせて
行かなきゃいけないの。…嫌な、嫌な予感がするから
お願いリィン、お願いよ」
「……俺も、お前には甘いな」
「じゃあ、」
「陛下には俺から言っておく。出発は、昼前だ。寝坊するなよ」
ぽん、と頭を撫でられてリィンは部屋を出ていった。
「明日、か…。今日はもう、寝よう」
ベッドに寝転がり、明日に備えた。
ごめんなさい
(すごく嬉しかったんだ)
20131024
久々すぎますね。
申し訳ありません。
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