それから、アルヴィンのことやジュード達のことを考える暇なんてないくらい忙しい日々を送っていた。
城から出さないと言った言葉は本当だったようで、ガイアスと共に謁見の間か、ガイアスの私室か、資料室に篭っていた私はそろそろ外の空気が吸いたくてたまらなくなっていた。
その気になれば外になんて簡単に出れるけれど、もしバレたら…っていうか一人きりになることがないから出れないっていう、ね。ガイアスか四象刃が必ず一緒、ずっと離れていたから楽しい毎日だけど、夜、寝るときにはアルヴィンを想った。いま、何してるのかな、また馬鹿みたいなことして独りになってたりとか……有り得る。
「会いたい、な」
雪が深深と降るカン・バルク。部屋の窓を開けて煙草に火を付ける。胸いっぱい吸い込んで、空を見上げた。月が、綺麗だ。
「アミュレイン」
「、ウィンガル」
「吸うな、と言ったはずだが?」
「やめられないの、仕方ないじゃない」
気配もなく部屋に入ってきたウィンガルは私の煙草を取り上げる。むっとして睨みつけると溜息をき「程々にしろ」返してくれた。
「身体、動かしたいなー」
「お前は戦闘のほうが性にあっているからな」
「でもウィンガル達が出してくれないんじゃない」
ふぅ、と吐き出した煙がウィンガルの顔に少しかかったようで眉を寄せた。ごめん、と謝るとウィンガルはまた溜息をついてアミュレインを見据える。
「明日、プレザとアグリアが奴らを始末するため任務に行く」
「、は…?」
「ジュード達を、殺しに行く」
「ま、待って待って、え?待って」
「あの男…アルヴィンもいる」
「、!」
私も行く、思わず出た言葉にウィンガルは何も言わず、いつもは結われているアミュレインの髪に触れ、そして唇を落とした。
「覚えているか」
「え?」
「お前は、俺が守ると」
「…忘れるはず、ないじゃない」
「アイツが好きなのか」
「……好き、だよ」
嘘じゃない、好きだ。私はアルヴィンが好きだ、だから一緒にいたいと、願うのだ。ガイアスも、四象刃も好きだけど、それとは違う好き。
「アミュレイン」
「な、に……、?」
ウィンガルは、アミュレインをそっと抱き寄せた。優しく、壊れてしまわないようにと。困惑するアミュレインの耳元で、
「…好きだ」
突然の、××
20130315
またまた久々に。
100話までで終わらせたい
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