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さよなら恋心




「……あさ、」


目が覚めると両脇にはプレザとアグリアが眠っていた。


プレザと、ガイアスの会話をアンは聞いていた。確かに眠ってはいたが、ガイアスか部屋に入ってきたときに目が覚めていたのだ。ガイアスは、乗り越えられぬ者はいらぬと言った。そして私は乗り越えられると。

あぁ、頑張らなきゃいけないじゃない。忘れなきゃいけないんじゃない。信頼、されてたんじゃない。
ぐるぐると巡る思考。納得しなきゃ、諦めなきゃ。でも、でも私はアルヴィンが好きで。どうしたらいいのかわからない。ここから逃げ出してアルヴィンのところに行く?でもそうしたら、きっとガイアスと戦わなきゃいけなくなる。

それは、そんな辛いことは、私には無理だ。だってガイアスは家族だから、四象刃だって家族だ。家族を殺せなんて、無理に決まってる。でも、私を仲間だと言ってくれた彼らを殺すことも、今の私にはできない。

ガイアスの邪魔をするなら排除する、なんて言ってたのに。私は、



「ひどい顔」



鏡を見て自嘲気味に笑う。目は腫れているし顔はむくんでいるし最悪だ。こんな顔、アルヴィンに見られたら…。



「また考えてるし、駄目だめじゃない、私…ほんと…っ」



また涙が流れ出す。どれだけ泣いてもアルヴィンに会えないのに。会えるはずなんてないのに。



「アミュレイン?」
「、プレザ」

「また、泣いてるのね」
「ち、違うのこれは…!」

「いいの、泣いて
私は陛下にもウィンガルにも言うつもりはないわ」



本当は、とプレザは、泣きそうな顔をして笑った。



「貴女に幸せになってほしい、アルのところにいって笑っていてほしい」

「プレザ、」

「いけないってわかってる、でも…私は貴女のことが大切だから、例え、戦うことになったとしても、アミュレインには笑っていてほしいのよ」


はらはら、流れた涙を拭おうとせず、プレザはそっとアンを抱きしめた。これは彼女の本心。戦うのは嫌だけれど、本気なんて出せないけれど、でも、笑って送り出してあげたいと思う。それは、無理な話だけれど。


「な、泣かないでよ…私なんかのために、泣いちゃ、駄目、プレザ」

「ごめん、ごめんなさいアミュレイン、いってらっしゃいって、言ってあげたいのよ…っ」



声をあげて、泣いた。わあわあと恥ずかしくなるくらい。


流れた涙と一緒に、アルヴィンへの想いも流れていけばいいのに。



さよなら恋心



(ごめんなさい、ごめんなさい)
(忘れたくなんかないけど)




20130308

久々更新。




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