「ていうか、こんなすごい客船に乗ってたなんて…アルヴィン君てひょっとしてセレブ?」
改めて、といった感じでレイアが言うと「失礼だな」とアルヴィンが言う。俺の品の良さは…云々。
そんな会話をしながら、PTはとある部屋に展開されていた蓮華陳(コータス)で左舷から右舷のバーホールへ移動していた。
ようやくたどり着いた発動機室の前。どうやって止めるか、わかるはずもなく思考を巡らせていたが、すっとアルヴィンが前に出て銃を構えた。
「こうしたほうが早いだろ。
ほら、アンも」
「え、あぁ、うん」
アルヴィンの隣で同じく銃を構えたアミュレインはトリガーを引く。ダァァアン…と音を立てて放たれた弾は発動機に当たり、放電しながら動きが止まった。
「よし、もう一つの発動機も止めるぞ」
「うん、行こう!」
「アン、アルヴィン、頼むぞ」
「あいよ」
「了解」
もう一方の発動機の前でミラが言い、二人は先程のように銃を構える。お互いを見合い、頷いてトリガーを引くと、音が、重なる。
「これで封鎖線は消えたはずだよ」
「うむ、ホールに戻ろう」
ホールに戻ると封鎖線は消えており先に進むことができた。中央甲板へ出ると、すぐにアルクノア兵との戦闘になる。アンは太股のホルスターから銃をくるりと回して構え、にやりと笑って走り出した。
「いくわよ屑ヴィン!」
「く…!?」
「「Xバスター!!」」
今はなにも考えずに、アルヴィンといよう。困ったら、その時考えればいいよね。アルヴィンは私を必要としてくれる。けどガイアスは、私を必要としてくれているわけじゃない。私がいてもいなくても、どっちでもいいのよ。
「アンとアルヴィン君のコンビネーションの良さは健在だね!」
「やっぱり恋人になったから余計でしょうか…」
「アルヴィンニヤニヤキモかったー」
二人+1の言葉にアンは顔を赤くする。「別にそんなんじゃない!」と声を荒げるとアルクノア兵に気付かれて戦闘になってしまった。
アンは先程の言葉を気にしてすぐ近くにいたジュードと共鳴しようと声をかけようとするも、ポン、と肩を叩かれて振り向けばにっこり笑ったアルヴィンがいた。ひく、と口元をひくつかせて、アンは肩を落としてアルヴィンと再度共鳴したのだった。
ジルニトラの制御室にジランドはいた。クルスニクの槍の前に、座っている。
「ご苦労なこった。
わざわざ…マクスウェルを連れてきてくれるなんてな。
アルフレド・ヴィント・スヴェント、アミュレイン・ラグレイス。
裏切った理由を聞かせてもらおうか」
「簡単だよ。あんたが昔から大嫌いだっただけだ」
「私は最初から、ア・ジュール王ガイアスの命令だったから仕方なくアンタの近くにいただけよ」
ジランドは立ち上がり二人を睨みつけるも、アミュレインを見てニヤリと笑った。
「あぁそうだ。お前の身体が恋しくてな…お相手願おうか、ガイアス王の側近である、アミュレインさんに」
「っ…!」
「お前もよがってただろ?
もっと、ってな」
ははは!と笑うジランドにアミュレインは歯を食いしばり睨みつけていた。自分の仕事だったからしていただけだ。そんなこと言ったこともない、感じたことだってない。
誤解、されてしまう。
そんなんじゃ、ないのに…!
「アンタの甥のアルフレドのほうが数倍よかったわよ。ただ動いてりゃいいってもんじゃないの、わかる?」
鼻で笑って言ってやれば、ジランドは目を細めた。イラついたようだ、ざまぁみろ。
ジュード達お子様組は、目の前で繰り広げられた会話に目を白黒させていた。まさか、この二人とアンが、なにもわかっていなかったエリーゼはきょとんとしていたのだが。
「こんな会話はいいわ」
「くくく、確かにそうだな」
ジランドは己の背後に数個の陣を展開させる。その陣からは氷の矢が飛んできて、みな受け身をとりながら避けたのだった。
過去のはなし
20121120
やっとジランドおいたんに会えた。
私、本当はジランドおいたん大好きなのにこの待遇www
し、仕方ないんです構成上…!とか言ってみる。
次回でジランド戦が終わります。
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