しん、と静まる謁見の間。ウィンガルを見ながら、考える。どうして、ガイアスは何も言ってくれないのだろう。一緒にいることも、ダメなのだろうか。
「アミュレイン」
「ウィンガル、」
「兵についての意見が欲しい」
「私に?」
「あぁ、プレザも呼びに行く。…行くぞ」
「え、ちょっと引っ張らないでよ」
手首を捕まれて謁見の間から出る。プレザを捜しながら作戦会議室に向かっていると、見慣れた茶色と、水色。
(プレザと、アルヴィン…なんで、)
何故だろう。胸が、ぎゅっと苦しい。二人を見ていたくない。苦しい、苦しいよ、やだ、なんで?
「アン、」
「っ、アミュレイン」
ぱちり、アルヴィンと目が合うと名前を呼ばれた。プレザも、驚いてアミュレインを見ている。
「プレザ、すぐに来てくれ。
ラ・シュガル軍との編成について意見がほしい」
「えぇ、行くわ」
「仲間に頼られちゃって…あるじゃねーか、居場所」
ウィンガルとプレザが並んで去っていく。プレザの背を見ながら、ぼそりと呟いた。
「…ばーか」
「アミュレイン」
「女たらし、馬鹿」
な、アン?とアルヴィンの声が聞こえていたが、アミュレインはアルヴィンの背中を叩き、振り返らずにプレザとウィンガルの後を追った。
ラ・シュガル軍の兵の編成についての会議が終わり、久々に自分の部屋に戻っていたが、すぐに戻ると伝えていたことをすっかり忘れていたアミュレインは、部屋から飛び出して謁見の間に向かった。
「またリィンにどやされる…!」
いつまで経っても慣れないヒールにイライラしながら謁見の間まで行くと、そこにはジュード達が集まっていた。あぁ、これからか。間に合ってよかった。
「あ、アンっ」
ティポを抱きしめながらエリーゼが声を上げると、みながアミュレインを見る。ちらりとジュード達を見たアミュレインは、はぁと溜息をついて、ヒールを鳴らして謁見の間に足を踏み入れた。
続いて入ってきたジュード達は準備が整ったらしく、ガイアスの指示で空駆ける船に乗り込んだ。
その場には、見慣れたア・ジュールの兵の他に、ラ・シュガルの兵の姿も。聞けばローエンが招集したようで、王亡きラ・シュガルも統べることができるのはガイアスだけだ、とアミュレインは考えた。
「陛下、みなに一言を」
ウィンガルの言葉に、兵達を見据えたガイアスは凛々しく、そして毅然とした様で話した。
「臆するな、我が同胞よ!
信頼せよ、昨日までの敵を!
我らの尊厳を再びこの手に!!」
拳を作ったガイアスをじっと見つめていたアミュレインを、プレザとアグリアは溜息をつきながら見ていたのは、ここだけの話しである。
昨日の敵は、
20121007
更新にまた日があいてしまいましたorz
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