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謁見の間にて


「ご苦労だった」




ガイアス城に戻ったアミュレイン達は謁見の間にいた。四象刃とアミュレインはガイアスにひざまづき頭を下げている。ひざまづきながら嬉しそうに頬を緩めているのはアミュレインだ。


「陛下、ボーヤ達はどうするおつもりですか?」
「奴ら次第だろう。
……アミュレイン」

「、なーに、ガイアス!」


プレザの問いに答えたガイアスはプレザからアミュレインに目を向ける。ガイアスに名を呼ばれたアミュレインはがばっと顔を上げてガイアスを見た。その顔は誰が見ても嬉しそうであり陛下であるガイアスを他の兵士がいる謁見の間で敬称を無しに呼ぶなど言語道断である。が、しかし。ジルニトラでの仕事ぶり、誰よりもガイアスに忠誠を誓っていて、予想外の任務で長いことガイアスと一緒にいることのなかったアミュレインだからということで、今回ばかりは仕方ないとウィンガルは目を瞑った。本来ならば有り得ないことだ。
アミュレインの存在を知る者や名前しか知らない者、さらにはアミュレイン・ラグレイスという存在すら知らない兵士は、アミュレインに、そしてウィンガルに驚きを隠せないでいた。


「今回の作戦、お前無しでは成り立たなかった」
「…本当に?」
「あぁ」


聞きたいことは沢山あった。
何故一緒に連れていってくれなかったのか、何故ジュード達と一緒に行かせたのか、私は、いらないのか。


「アミュレイン」
「…なに?」
「よくやった」


ざわ、と謁見の間が揺れる。ガイアスが、アミュレインの頭を撫でて微かに笑ったのだ。アミュレインはえへへ、と笑い、さらにざわつく謁見の間。

四象刃は見慣れているからか、少し笑っている。




「ウィンガル、出発までは?」
「船の機能掌握のために兵達が動いていますので、数刻はかかるかと」



「まだ時間がかかるみたいだね」
「では、それまで休むとしよう」


ミラ達が謁見の間から出て行き、じっとアミュレインを見つめているエリーゼとレイアの視線から逃げるように、ガイアスの後ろに隠れ、ガイアスに聞こえるか聞こえないかわからないくらいの大きさで、呼んだ。

「…ガイアス、」


不安げに、名を呼んだ。
ガイアスは頭を撫でると玉座に座り、四象刃は立ち上がる。アグリア、プレザは職務で謁見の間から退室し、ウィンガルとアミュレインが残る。


「ねぇ、ガイアス
私、ガイアス達と一緒にいていいのよね?」



謁見の間にて


(何で答えてくれないの?)



20120928

昨日は更新できませんでした…多分明日もできないと、思う。
ので、今日もう一つあげたいです、はい

20121005
修正

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