TOX | ナノ

掌握、完了。


「ほらジュード、敵が襲ってきますわよ」


巫子イバルが艦橋を奪い、アン達がその場に残っていた。じりじりと詰め寄ってくるアルクノア兵を、また一人で何人も倒さなければならない。

…めんどくさい。


「はいはいちゅうもーく!」

「え、アン!?」

弱き者よ、永久の闇に消え失せろ!


いつか聞いたアンの言葉に、ジュード達は手を止めた。これは、この技は、詠唱は。


死神の誘い(デス エンド)!


アン達を囲うアルクノア兵の足元が黒く光る。
どん、という爆発音と目の前が見えなくなってしまう程の黒。それに思わず目を閉じた一行。


「…さよなら、」


アンの切なげな声が聞こえて、ジュード達が目を開けたとき、あれほど沢山いた兵は、もうほとんど残っていなかった。


「アン、」
「ごめんね、鬱陶しかったから一掃しちゃった」


にっこり、笑うアンに、ジュードは鳥肌が立った。ずっと、気になっていたのだ。あの黒に飲み込まれたら、一体どうなるのか、あの兵達は、どこにいったのか。


「アン、あの」
「ん、なにか質問?」
「う、うん
兵達は、どこに消えたの?」


意を決して問うと、アンは少し考えた後に知らないと答えた。この人が本気になれば、人を一人消すことなんて容易いんだ、とジュードはなぜだか、アンを怖いと感じた。


「…来た」


ぽつり、アンが呟いたと同時に上空から人が飛び降りてくる。ガイアス、そして四象刃だ。


「終わっているようだな」
「アン、なにしたの?」

「死神の誘いしただけだよ」


あれほど使うなと言っただろう、とウィンガルの怒声をスルーして、アンは嬉しそうにガイアスに近付いた。


「ガイアス、無事で良かった」
「お前も、無事だったようだな」


優しく、優しく頭を撫でるガイアスに、ほんのりと頬を染めて笑ったアン。じっと見ていたのは、アルヴィンだった。


「城に戻るぞ」
「今日は絶対一緒にいるからね」
「…わかっている」


アルヴィンの視線に気付くことなく、アンはガイアス達と共に城に帰っていった。


掌握、完了。



(…だるい)



20120925

進まない…orz



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