TOX | ナノ

懐かしい匂い

其処につくと、男はすぐに何処かへ消えた。



シャン・ドゥに着いたのは、アルヴィンと初めて共鳴してから2日後だった。あれから、何故かあの男が私と共鳴したがり、共鳴術技が多いからか楽に魔物を倒していた。レイアやミラ、エリーゼも共鳴したいと言っても、奴は聞かずに"今度な"と笑っていただけ。


「やっと着いたねー」
「疲れました…」
「大丈夫?
レイア、エリーゼ」


"なんとか平気(です)"と肩を落とす2人に思わず笑ってしまった。可愛らしい女の子達だなぁ、と。しかし、情が湧くと面倒なことになる、一定の距離は置かなければならないだろう。


「っ、アン、危ない!」
「…え…?」
「、馬鹿!」


ジュードの声。影ができ頭上が暗くなる。上を向けば、岩が落ちてきていて、私の頭に当たる寸前だった。腕に鈍い痛みがしたと思ったら、不意に聞こえた声。

―…どさ、と倒れる音。目を開けると一杯に黒というか焦茶が広がっていた。微かに香る香水の匂いに何故だか少しだけ安心した。


「っ、アル…」
「大丈夫か?」
「へ、き」


痛みに視界が歪む。駄目、駄目よ。目の奥が熱くなって、意識が途絶えると同時に涙が流れた。

意識が無くなったのは一瞬だっだったらしい。すぐに腕に暖かい何かを感じて目を開ける。すると目の前には見たことのある女性が、私を治療していた。


「気付いたみたいね。大丈夫?まだ、痛む?」
「…いえ、平気です」


イスラ。アルクノアに潜入し、此処にいたときによく話しをしていた女性だ。素敵な婚約者がいて、その婚約者と幸せになりたいのだと言っていた。幸せになるためには、裏の仕事をしていたくないと。けれど、アルクノアはそれを許しはしなかった。その事に、彼女はいつも私の前で泣いていたのを思い出す。


「アン、立てる?」
「うん、」
「はい、掴まって」


"ありがとう"と立ち上がらせてくれたレイアをエリーゼに言うと、無事で良かった、と笑ってくれた。心が、少しだけ暖かくなったのは…気のせいだと言い聞かせた。


「あれ、アルヴィンは?」
「アンを助けてから…何処かに行ったようだな」


母親の所か、アルクノアの所か。別にどっちでもいいけれど彼の母親の所には後で顔を出そうと思う。正気に戻った彼女と、数回話したことがあったから。…私が行けば、また正気に戻るかもしれない。


「ね、ワイバーン見つけに行くんでしょ?」
「あぁ」
「じゃあ行こう?
アルヴィンは後で来るんじゃないかな」


"そうだね"とジュードが言い、街中を探した。私は場所を知っているけれど、バラすわけにもいかず、後ろを着いて行った。少しして、ワイバーンの檻にたどり着き、何度も会ったことのある、イスラの婚約者が来た。

ワイバーンを従えたというミラと一行の私達に闘技島での部族の戦いに参加してほしい、と頼まれた。優勝すれば、ワイバーンを貸すという条件付きで。その時、消えていたアルヴィンが現れて、その大会まで宿屋で休むよう、言われた。



懐かしい匂い



(あの切なげな顔を意味を)
(知りたいと思い始めた)



20111008

シャン・ドゥ到着
話しがバラバラな件orz




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