死ぬ、絶対に死ぬ。
「見えた、空中船だよ」
「よし、ここから飛び降りるぞ」
今、変な言葉が聞こえた気がする。飛び降りる?嘘でしょ、や、馬鹿でしょ。無理、無理無理無理無理!飛び降りるとか自殺行為だし、足痛くなるし!臓器が上に上がる感覚で気持ち悪くなるじゃない!
「…おいアン、大丈夫か?」
「…冗談キツイ」
「アン?」
「飛び降りるとか無理でしょ、アホでしょ!ねぇ!」
捲し立てるアンにアルヴィンは呆れたように笑った。それにカチンときたアンは、アルヴィンの腕をきつく摘み、痛いと声を漏らすアルヴィンを睨みつけた。
「私はガイアス様達が来るまでワイバーンで待機してるから」
「旅は道連れって言うだろ?」
「関係ないわよ、アンタが勝手に連れてきたんじゃない!」
「アルヴィン、アン、先に行くよ!」
「あぁ、すぐ行く」
ジュードがワイバーンから飛び降りる。高い、下なんて見たら倒れる、絶対に無理。
「ちょっと、私は行かな…っ」
「んっ…んん、」
行かない、と言い終わる前に、アルヴィンに唇を奪われる。目を見開くも強引な口付けに瞼が落ちる。
離れたと思えば、ぐっと抱き寄せられてドクンと心臓が鳴った。
「舌噛むぞ、喋るなよ?」
「え、……んんんっ」
抱き上げられて遂にワイバーンから飛び降りる時、再度アルヴィンは唇を奪い、アンの思考は口付けのことだけ。今から起こる落下、浮遊感は、ほんの隅にある程度になった。
唇が離れた、刹那。
「……え?
っきゃああぁぁぁああ!」
「ぅわ、暴れるな!」
「やだ、落ちる死んじゃう!」
ぎゅ、と自分から抱き着けばアルヴィンの力が強くなった。言葉はなくとも、大丈夫だと言われているようで。恐怖心と共に、少しの安心。
「遅かったな、二人とも」
「あぁ、ちょっとな」
「アン、大丈夫?」
無事、空中船に着地したもののアンは息を荒げていた。普段、カン・バルクでも屋根を伝うことはあったが、それ以上の高さだ。前回はカラハ・シャール、そして今回は此処。どちらもアルヴィンに失態を見られている。さらにはキスまで、されてしまった。
「…最悪よ」
「!いま、回復を」
「いい、それは平気」
ととと、走り寄って来たエリーゼを止めると、ローエンを見た。彼は私と目が合うと頷いく。
「艦橋を」
「…船尾のあれじゃないか?」
船尾を指差しそちらを見ると同時に、アルクノア兵に気付かれ、取り囲まれる。ミラの、凛とした声が、響く。
「ここからは力押しだ!」
空駆ける船。
20120924
連続更新…というか2話いっぺんに更新しました。
やればできるんだなぁと思いました、はい。
ヒロインのキャラが、久々すぎて迷子…orz
アルに何回もちゅーされてしまえばいいという思いから出来上がりました(笑)
とりあえず、ちゅーと、悲鳴だけでしたね、ヒロイン(笑)
それでは、また朝以降に更新できたらなと思います。
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