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我が行く末は



裏道を抜ければカン・バルクはすぐだ。


カン・バルクの屋根を慎重に進みながら城を目指す。私はよく屋根の上を移動していたから道はわかっている。久々のカン・バルク、あぁ、帰ってきた。早く、早くガイアス様達と合流したい。



「慣れてるね、アン」

ちらちらと私を見てくるのはエリーゼとレイアだ。ぱくぱくと口を動かして、何かを言いたそうにしている。私はそれに反応せず、ただ先を目指して前進した。途中、アルクノアの兵との戦闘にもなったが、彼らの連携であっさりと終っていく。私は。特になにもすることはない。

一緒に戦っていたのはほんの数日前だというのに、なんだか遠い昔のように感じてしまう。

長く、いすぎたからなのだろうか。プレザのいうとおり、情が、わいてしまった?


「みんな、伏せて」


ジュードの言葉に、みな従った。見下ろせばそこには、ガイアス達だ。


「ガイアス、強いですね」
「すごい人だよね」


エリーゼの言葉に、ジュードが返す。ガイアスが強いのは当たり前だ、彼は本当に強い人なのだから。私が付いていくと決めた人。大事な、家族なのだから。







「ジュード、後ろだ!」


突然のミラの言葉に驚くジュード。"え?"と声を上げるジュードを狙うはアルクノア兵。仕方なしに銃を構えようとした時。一筋、走った。
そして、頭上にいた敵が消滅すると彼らはまた歩きだす。私も、進む。


「さ、俺たちもさっさと行こうぜ」


アルヴィンこ言葉にジュードは頷き、一歩、また一歩と城に近づいた。





「いくよアン、エリーゼ!」
「はい!」
「私達の武器は!」
「儚さと」
「可憐さと!」
「い・ろ・じ・か・け」
「…なーんかむかつくなー」


途中戦闘で、我先にと共鳴させられたレイアと、レイアとにらみあっていたエリーゼとの戦闘後の会話だ。むかつくと言いながらも、レイアは笑顔だから不思議でならない。


「アンって、寒くないの?」
「…別に。
……っ、くしゅ」


冷たく返したのに、くしゃみをかました私を、レイア達は笑った。アルヴィンとローエンも、なぜか笑っている。私たちよりも何十年も長く生きているというのに、よく裏切り者の私と一緒にいても平気だなぁと、思う。


「ミラもアンも、寒そうで見てられないよ」


ははは、と笑うジュードをにらみつけてやる。関係ない、もう馴れ合うつもりなんてない。


私は、私は。



我が行く末は



(不安で仕方ない)



20120523

久々の更新です。
かなり久しぶりにxをプレイしたら戦闘のやりにくくて大変でした;
きっと、最近はGばかりだったからですね(;ω;)


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