以前アルヴィンと身体を重ねたときは、早く終われと願いながらだった。
男と身体を重ねるのは、仕事を円滑に進めるためだったから、もちろんそこに愛なんてものはない。私の条件をのむから抱かせろ、という欲に塗れた男ばかりだった。
アルヴィンに抱かれたのは今日で3回目、くらい?いままではただ、揺さぶられて、もちろん愛なんてないし私は仕事として、契約としてだったから嬉しくなんてないし嫌で仕方ない行為だった。
けれど、
今日、こうしてアルヴィンに抱かれて。今までとは違う、そう、違うの。この時間がずっと続けばいい。こうして、抱きしめられていることが、なんだか幸せで、離さないで欲しい、なんて。
外で行為、なんて今まで色々な男としてきた。嫌で嫌で、私を抱く男を消してやりたいといつも思っていた。でも、でも…アルヴィンとの、彼との行為に、私は。
(―…幸せを、感じた?)
行為後の処理を終えて、また身体は冷えだす。立ったまま、アルヴィンに抱きしめられたままの私は彼の胸に顔を埋める。
とく、とく、と規則的なアルヴィンの鼓動を耳にしながら目を閉じる。
「…なんで抱いたの?溜まってた?」
「抱きたかったんだよ、お前を」
きつくきつく抱きしめられて息苦しくなる。けれどそれが心地好いと感じてしまう。今の私は、おかしい。
「そろそろ戻るわよ、心配するわ」
「…ガイアスと、ウィンガルが?」
「アンタの仲間達、特にジュード」
「は、それはないと思うけどな」
自嘲気味に笑ったアルヴィンを見上げる。瞳は、悲しげに揺れていた。
「馬鹿よね、独りは嫌なくせに自分から距離を置くんだから」
「違う、そんなんじゃない」
「大事なものを作らないようにしてるんでしょう?裏切るなんて、自分を傷付けるだけじゃない」
大馬鹿よ、と笑えば"お前もな"と返される。私は元々ア・ジュール側で裏切るために、ただ潜入のために入っただけだ、傷付いてなんかない。
「私は、」
「エリーゼとレイアを気にしてるだろ」
「してない、あの子達は最初から私の敵よ?何を気にする必要があるの」
強がらなくていい、と言われ頭をぽんぽんと優しく叩かれる。違う、違う違う違う!私は、私は…!
「、あれ?やだ、変だな」
「泣けよ、誰もいない」
「っ泣いてないわ!」
「はいはい」
ぐす、と鼻を啜る。くすりと笑われてアルヴィンの脇腹を抓ると痛い痛いと笑う。俯いて、ただただ、流れるままに涙を流した。
「帰るか」
「…ん、」
自然に繋がれる手。振り払うこともできず、ただ、アルヴィンの隣を教会までゆっくりと歩いた。
それを、
ウィンガルが見ているとも知らずに
今までとの差
20120304
またまた日が開いてしまいました。
次回はゲームに沿って進みます!やっと、やっとです(笑)
prev / next