TOX | ナノ

おかえり、私



裏口から、アグリアとプレザと教会の外に出た。気を使ってくれた二人に感謝して、外の空気を目一杯吸い込む。


「これで、やっとネェちゃんと一緒にいれるんだ」
「嬉しい?アグリア」
「そりゃ、アイツらと一緒にいられるよりはずっといい」

頬を赤らめながら言うアグリア。素直に嬉しいと思った。


「、ネェちゃん」
「なに?」
「泣くなよ」
「泣いてないわ」
「じゃあ、じゃあなんで涙流れてんだよ、」


鋭い目付きのアグリアに言われて頬を触る。確かに、流れているのは涙だ。

寂しい?辛い?苦しい?
違う、違うよ。私はこっちに戻れて嬉しいの。嬉しいのよ、絶対に。


「だから反対だったのよ」


不意に、今まで話していなかったプレザが発した。はぁ、と溜息をついて眼鏡を押さえる。


「アンは感情に流されやすいし、優しすぎるのよ。
ボーヤ達といれば必ず情がわいて離れがたくなる

陛下もわかっていたはずなのに、どうしてかしらね」
「プレザ」

「ジャオといいアンといい、敵に情は不要よ」
「、わかってる。
…私の命は、ガイアスのものよ」


迷いをなくせ、私。
私はガイアスの近くに、四象刃の近くにいてこそなのだから。


「けど、無理はしちゃ駄目よ?」
「ありがと、プレザ」

「おかえり、アミュレイン」
「ネェちゃん、お、おかえり」

「ただいま、プレザ、アグリア」



おかえり、私



(ただいま、皆)



20120109

ちょっとした小話



prev / next