ウィンガルは、まだ意識を取り戻さない。不安だけが、駆け巡る。
「ウィンガル…、」
「まだ、目が覚めんのぅ」
「ジャオは?身体、平気?」
"大丈夫だ"と笑ったジャオは、とても優しく笑った。まるで父親のような暖かい笑み。
「プレザも平気?」
「えぇ、アンの治癒のおかげでね」
くすりと笑い合う。やっぱり、ここが好きだ。この人達が好きだ。
何を迷ったりしたのだろう。
いまだ目覚めないウィンガルは良いとして、ジャオには後ろを向いてもらい、此方側としての服、黒のスリット入りの服に着替える。
網タイツにスリット入りのミニスカ、黒のロングブーツ。それだけでも恥ずかしいのに、胸元が思い切りあいているときた。着たくないけれどガイアス様が褒めてくれたし、仕方ないから着てるんだけど、
「動きやすいけど、動きにくいよなぁ」
「まぁ、そこまでスリット入ってたら下着が、ね」
「そうそう、網タイツ履きたくないけど、履かなかったらそれもまたヤバい気がするし、」
露出度の高い服を着ているアンとプレザは決められたその服に対しての少々の愚痴を零した。
「…ていうか、」
「どうしたの?」
「マクスウェル一行、きっとガイアス様と戦う、よね?」
「…そうね、ボーヤ達、引かないでしょうし」
「、私、先にガイアス様のところ行く!」
ヒールをがつん、と鳴らし走り出した。
「ちょっと、アミュレイン!」
「ウィンガルのこと、よろしくねプレザ!」
見えなくなったアンに大きく溜息をつき、眠り続けるウィンガルを見る。そして、ジャオと目が合うと、ジャオは苦笑した。
「…陛下にお熱ね、本当」
「あやつは、陛下に拾われたんだったのぅ」
「ジャオが一番アンと長いんでしょう?」
「あぁ、まだ10にも満たないアミュレインは、既に桁違いの戦闘力があった」
ぶわ、と風が吹き荒れた。
「ガイアス様、が…怪我でも、したら…っ!」
息を荒くしながらも全力で走る。高いヒールは走るのに邪魔でしかないが、今はそんなこと気にしていられない。
がつん、と大きく鳴らしたヒール、目の前には武器を構えるアルヴィン達。
互いから漏れるただならぬ殺気に、ぶるりと震え口角をあげた。
「…いくぞ、」
「うん、ミラ!」
ちゃき、という剣の音が聞こえて、太股に括りつけてある愛銃をミラの足元目掛けて重いトリガーを引く。
パァン、と景気の良い音。ミラの足すれすれに放たれた其れに、アルヴィンは眉を寄せた。
「、誰!?」
「銃…?」
「…来たか、アミュレイン」
「遅くなり申し訳ありません、ガイアス様」
「いや、良い」
石を踏み潰した音が響き、ガイアスの後ろへと着地し頭を下げる。ガイアスの言葉で顔を上げると、にっこりと嬉しそうに、幸せそうにアミュレインは笑った。
そんなアミュレインを見て、アルヴィンだけは、ただガイアスを睨みつけた。
「ガイアス様、私にお任せくださいな」
「…いや、共に戦おう」
「、はいっ!」
笑みを浮かべたまま、ミラ達に銃を向けるアミュレイン。一歩ずつ前に出てガイアスよりも数歩前に出る。
「アミュレイン・ラグレイス、
ガイアス様の望みのため、貴方達を排除させてもらうわね」
こてん、首を傾ける。
パ―…ン、
2発の銃声が、綺麗に、一つに重なった。
望みのために
(ま、負けないけど)
20111109
四象刃と一緒にいたことで本来の自分を取り戻しつつあるヒロイン。
ガイアスと一緒にいると甘えたくなる妹気質
ガイアスもヒロインには滅法甘いという噂←
ただ、いつの間にかミラ一行を嫌いではなくなり、レイアやエリーといるのが居心地いいと思い始めているのも確かです
アルヴィンはガイアスに敵意剥き出しですが、それを本人は気付いてません、無意識です
ここからどうくっつけるか、楽しみです\(^O^)/
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