TOX | ナノ

小さな変化。

「悪い。遺言聞くつもりないから」



低い声が、聞こえた。


痛みに目を開けると、そこにはプレザに銃を向けているアルヴィンがいた。

目が、本気だ。

思わず走り出して、プレザの前に立つ。す、と目を細めたアルヴィンは、そこを退けと言っているようで。
後ろから小さく、アミュレインとプレザの声が聞こえた。


「もう、勝負はついたんでしょう?やめて、」
「そうだよアルヴィン、もう決着はついたんだ」


ジュードの止める声と、アンの声。アンはアルヴィンを睨みつけ、殺気を放つ。

すると、静かに銃をおろしたアルヴィン。…良かった。


「わーったよ、お前らが言うならそうするよ」


はあ、と大きな溜息をついて目を閉じたアルヴィン。すると、背後から声


「怖い怖い、そうやって生きていくのよね

―…ボーヤ、そうやって弄ばれて、いつかは棄てられるのよ」

「けど、アルヴィンは僕の気持ち、わかってくれてると思う」














「クルスニクの槍まであと少しだ。みな思うところがあるだろうが先へ行かせてくれ」


進む先を見据えたミラの凜とした声が響く。頷くジュード達。


私は、


「すみません、私…まだ、身体が、」

「そっか、まだ全快じゃないもんね」
「…大丈夫?」

「えぇ、四象刃の方々も、動けないでしょうし
直ぐに、追いつきますから」

頷いたミラ。みな、アンに背を向けて先に進む中、アルヴィンのみその場にいた。


「アルヴィン?」
「直ぐ行く」


ジュードに呼ばれるも、手を挙げて言ったアルヴィン。


「大丈夫か?」
「当たり前じゃない




―――……え、」


地に伏せる四象刃がいる中、アンとアルヴィンの声だけが響いた。



気付けば、アンはアルヴィンの腕の中にいた。



混乱する頭。そして赤く染まる頬。どうしたらいいか、わからなかった。


「…良かった」
「アル、ヴィン?」

「心配、した」
「…うそ、」
「嘘じゃない」


彼の声が震えているのが分かる。仲間である四象刃が、私を本気で殺そうとするはずないのに。


「馬鹿ね、四象刃は私の仲間なのに」
「…お前、普段あんな簡単に倒れないだろ」


はぁ、と息をつき、抱きしめられていた腕が緩まる。見上げれば、そこには見たこともない顔をしたアルヴィン。

眉を下げて、目を細めて。その表情にどきりとしたけれど、駄目、駄目だと自分に言い聞かせた。


「離して、治療しなきゃ」


言えば、簡単に離された。なぜだか、少し寂しくなった。

「プレザ、大丈夫?」
「大丈夫よ、」


「リザレクション、」


ぶつぶつと呟き、回復術をかけるとアンの周りに蒼い光の譜陣が展開される。

きらきらと光の粒子が四象刃に降り注ぎ、みるみる傷が塞がり、彼らの顔色も良くなった。



「…アル、」
「なんだよ、プレザ」


全快、とは言えないけれど回復したプレザは立ち上がり、アルヴィンの元へ行く。

ちくん、と胸が痛くなったけれど、それに気付かないフリをした。



小さな変化。



(何気にしてるの私、)
(プレザとアルヴィンなんて)

(私には関係ないじゃない)



20111106

更新の日にちがまた開いてしまいましたorz

誰だよ毎日更新とか言ったの←

実家って家事とかあまりしなくていいから楽なんですけど、その分携帯いじれないから辛いんですよね。


さて、今回、アルに行動させてしまいました。
彼にも何故そんなことしたかはわかってません←

私ですらわかってなi←

えっと、これからのワンステップということで、なんとかアルヴィンに気を持たせられるよう頑張ります、はい

どっちから告白させようとかは、2パターンは考えて打ち込んでるのですが、まだ決められないいぃい

…ということで←?
早めに更新しますね!

閲覧ありがとうございました(*´艸`)

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