TOX | ナノ

赤い服の少女

例えバレたとしても、大事な仲間に刃を向けることなんて出来ない。



研究所を出ると、赤い服の少女…アグリアを捜すことになった。私は目を閉じ、いまだ意識を失っているかのように不本意だがアルヴィンに横抱きにされていた。


「大丈夫か?」
「……、」
「今、アイツらはいねーよ」
「…アグリア、大丈夫かな」


ぽつり、彼にだけ聞こえる声量で言う。気配で、驚いているのだとわかり"なによ"と少し低めの声をだした。


「いや、おたく仲間とか大事にするタチ?」
「…"仲間"は、ね」


きっと、アルヴィンは私の言った意味を理解するだろう。例えエリーゼやレイアに懐かれて私も多少は可愛がろうと、それはただの仕事にすぎない。…彼らを"仲間"だなんて思っていないし、任務じゃなければとっくにサヨナラしている。私の"仲間"は、"居場所"はあそこだけ。ガイアス様の近くだけだ。


「そろそろ起きたらどーよ?」
「…い・や」


"まだ力入らないし"と言えば明白に溜息をついたアルヴィンは"我儘な姫さんだ"と言い、諦めた。



「いた!」



アグリアを見付けた。"ブス!"という怒声が聞こえて、あぁ変わらないなとなんだか嬉しくなった(そんなに離れてなかったのになぁ)


ローエンが、アグリアを見て気付く。彼女がラ・シュガル六家の次女かと問うと、彼女を纏うオーラが変わった。悲しい、辛い過去を思い出したのだろう。

アグリア、気をつけてね、怪我しないでね、無茶しないで。貴女は一人じゃない、ちゃんと私達がいるから。なんて、届くはずもないのに、心の中で叫んだ。

"死んじゃえ!!"と笑いながら特殊な武器を構えたアグリア。アンとアルヴィン以外も武器を構え、戦闘が始まる。アグリアの苦痛に耐える声が時折聞こえる。痛いよね、怪我しないで、お願い。


「…キュア」
「!、アン」


私達を庇うように戦うジュード達は、私が目を開けているなんて思っていない。一瞬、アグリアと目が合って驚いた表情を浮かべた後、またジュード達に向かう。

"キュア"と唱えると、ジュード達にバレないようにするため、目には見えない粒子がアグリアに降り注ぎ、アグリアの傷が回復。身体の疲労感が消えたアグリアはまたアンを見て、にっこりと笑うアンに眉を寄せて、鼻で笑った後また高笑いした。

4対1(兵士は2人いたけど雑魚だし)は、やはり不利でしかなかったから、アグリアは膝をついて、また毒を吐く。


「…おいブス!」


"どんなに頑張ったって、全部うまくいくとは限らない"みたいなことを言って、アンを見た。


「起きてんだろ、ネェちゃん」

「え…?」


アグリアの言葉に、ジュード達が疑問符を浮かべる。無理もない、この少女とアンに一体なんの関係があるというのか。そんなこと、彼らには全くわからなくて、ただ見ているだけ。


「寝たフリすんな。…むかつくんだよ!」

「…そんなに怒らないでよ、アグリア」
「アン、知り合い、なの?」
「うん、ちょっとね

…アグリア、怪我してる」
「っ、触んなババァ!!」


力が入らなかった身体は漸く元に戻り、アルヴィンにおろしてもらうと、まだフラつく足でアグリアの近くまで行く。戦闘で傷ができた彼女の顔に手を伸ばすも、ぱんと手を叩かれて、その手は行き場がなくなった。


「アグリア、」
「……ムカつく、むかつくんだよ!!!!」


ただそう言い残し、アグリアは姿を消した。彼女は怒っていた。命令でも、必ず彼女に言ってから任務に出ていたのに、そういえば今回は何もいわずに出てきた。きっとそのことに怒っていたのだろう。

レイアのような考えを持つ子が好きじゃないアグリアは、多分それも含めて機嫌が悪かったようだし。


アグリアが去ると、エリーゼとレイア、ジュードが近付いてきて"大丈夫?"と眉を下げた。平気だ、と伝えると経緯は聞いていなかったがオルダ宮殿に向かうようだ。



赤い服の少女



(狡いな、お前)
(そんなこと、分かってる)




20111015


捏造ばんざぁぁぁい!!!!

昨日は8度ちょっと熱でますた。はふぅ←

まあやんの声可愛すぎて泣きそうになった。



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