赤い服の少女。それは仲間である少女だった。
研究所を歩いていると、以前侵入したときのおかげで大体の位置を把握しているというジュードが先頭だった。
爆発事故があったせいか研究所内は火薬の臭いがして少し気分が悪い。それは他のメンバーも同じだったようで皆、眉を寄せていた。(ただ一人を除いて、だけど)
「ここ、」
「あぁ、以前に…」
ある扉の前に着くと、以前入ったことのある部屋だったようだ。中から"うわぁぁあ!"と叫び声が聞こえ、ジュードが血相を変えて部屋に入った。
水?が入った透明な筒状の中には、男性がいた。みるみる生気のなくなって行く顔を見て、ああマナを吸い取られているのかとただ見つめていた。
やがて中にいた男性は、体内のマナを全て吸われ絶命。姿形が残らずに、消えた。思わず目を伏せると悔しそうな声が響く。
部屋に何かないかと全員が探し回り、梯をあがったところに機械。それを器用に操作して、爆発させた犯人の映像を探し出した。赤い服に白に近い色の髪をした少女。
(―…アグリア、)
爆発まで起こして笑っている様子だったから、彼女は元気なのだろう。相変わらず、はじけている。変わらない仲間になんだか少し嬉しくなった…が、私は突然目の前がチカチカと白黒になり、壁に手をついた。
「アン、大丈夫か」
「だい、じょうぶ」
ミラが心配そうにアンを見て、それに続いてエリーゼ、レイアがアンに近づく。見るからに顔色が悪く、とてもじゃないが大丈夫だとは思えない。
肩貸すよ、とジュードが言ったが、首を振り目を閉じて一度深呼吸をし、ゆっくりと目を開けた。
「もう、大丈夫」
「本当に大丈夫か?もし無理なようなら私が」
「ミラ、僕が肩を貸すから大丈夫だよ」
「私が、支えます、」
「私と、エリーゼがね!」
「おや、ではじじぃも参加しましょうか」
次々に話すミラ達。心配、してくれているのだろう。(馬鹿よ、この人達)
「大丈夫ですよ、ほら」
壁から手を離しその場で数回飛び跳ねてみせると、仕方ないなぁと了承され、研究所を出ることになった。
「気をつけておりてよ?アン」
「ありがとう、レイア」
アルヴィン、ローエン、ミラが先に梯を降りて、次に私。心配性なお子様組に心配されながら梯を降りていると、突然握力を失った。握ろうとするも力は入らず、身体が後ろに傾く。"アン!"とエリーゼが発した言葉は耳には入らず、目を閉じて痛みを待った。
どさ、と音がして想像していたよりも痛みはなくてさらには暖かくて。
「大丈夫じゃねぇだろーよ、姫さん」
「…アル、」
残り5段あたりから下に飛んだお子様組が走ってきて、半泣きのエリーゼとレイアがアンを見る。アルヴィンに抱き留められたことに2人は不服そうだが、アンが怪我するよりはマシだと考えたのだろう、"大丈夫?"とアンの手をとった。
「心臓、とまるかと思ったよ」
「本当に…大丈夫、ですか?」
手だけじゃなく、身体に力が入らなかった。これじゃあ歩けないな、と溜息をついて、アンは言った。
「ごめんなさい…身体に力が入らなくて、」
言うと、やれ僕が私がとアンを支えると言い争っていたが、それに呆れた男が、アンを抱えたまま部屋を出ようと声をあげる。
「アンは俺が抱いてくから、こんなとこ早くでちまおうぜ」
"アンも気失ったしな"とアルヴィンが言えば、文句を言いながらも彼らは外へと歩きだした。アンは気を失ってなどいなかったのだが、起きているといつまでも先へ行けそうもなかったので、アルヴィンに提案され、それに従った。
壊れていく体
(…術のこと以外ならね)
(おたくの身体でいい)
20111013
またもや本編関係ない…!というか全然話進まないんですけどどうしましょう←
ただアルヴィンに姫抱っこさせたかっただけという←
prev / next