TOX | ナノ

とにかく嫌い

嫌いだと伝えてもなお、私に近付く理由はなんなのだろうか。



「大嫌いなんだもの」
「…んなこと知ってるよ」
「じゃあ、なんでよ」


問えば、頭の後ろに両手を組んでからからと笑う。"さぁな"と曖昧な態度で私を抜かして階段を降り、また私を見た彼。その顔は、何故だか酷く悲しげで。きっと、きっとだけれど。心が泣いているんだと、思った。あの時だって、アルヴィンは…。


「さて、アイテム補充すっかー」
「…ついてくる気?」
「優等生から荷物持ちに任命されちまってな」
「一人で平気だから、帰って」


"そういうワケにはいかねぇんだわ"と隣に並んで歩く彼を、出来ることなら今すぐにでも殺してやりたい。この、素晴らしく馬鹿な屑野郎を。


「なんで、」
「…ん?」
「なんでアンタは、裏切り続けるの」


ぽつり、ただ気になって問う。頭一つ程高い彼を見上げると、驚いた顔をしていて。きょとんとした後に、乾いた笑いを零し、瞳を伏せた。


「言わなかったか?
大好きなママの為だよ」


"俺って健気だろ?"と笑う男に、また苛々した。なに、コイツ。自嘲するのも大概にしてほしいものだ。母親の為?確かにそうかもしれなくても、なんていうか、その、かなり、うん。


「…むかつく」
「なにが?」
「だからって、裏切っていいの?母親の為じゃない、結局は自分の為じゃない。…馬鹿みたい」


裏切りを繰り返す度、苦しくなるのは自分なのに。一人になっていくことに恐怖するなら、最初からしなければいいだけなのに。

彼女はもう、分かっているというのに。

ぺらぺらと口が動く。こんな事をいうキャラクターではないのに、何故かこの男には素を見せてしまう。馬鹿、馬鹿なのよコイツ。プレザも、こんな男のどこが良かったんだか。ただの子供じゃない。この男は、身体だけ大きくなった子供でしかない。


「お前も…何を考えて此処にいるんだ?」
「…命令よ、四象刃達と同じだもの私」


今までは言えなかったけれど、この男には色々とバレてしまった。バレて困ることは言わなければいいだけだし、気付いたのだ。この男に話すと、少し気持ちが楽に、軽くなると。この男と話していると苛つくけれど、秘密を共有している者にしかわからない、素を出せることが、この旅で救われている。

けど、早く買い物を済ませて宿屋に帰りたい。その一心で買い物を急いだ。



とにかく嫌い




(半径1m近寄らないで)
(ちょ、酷くないか!?)



20111008

あれ、なにこれ←
なにかきたいの私

とにかくアルが気にくわないという

アルの過去とか何故か色々知ってるわけなのです


ひぐら

20111010

2日経つと打つこと変わりますね、はい←

なんか辻褄があわなくてアワアワしてる私←

prev / next