私は、きっとおかしいのだ。
戦いたくない、そんな馬鹿げた事を思ってしまい、ミラに切られそうになった。どうせなら、そんな事を思った私を殺してくれればいい。ガイアス様への裏切りだわ。
避けるでもなく、ただ笑った私の前には黒。暖かい、大切な…愛しかった人。ずるりと地面に伏せた彼の背からは夥しい赤黒い血が流れ、彼の顔は段々と青くなる。いやだ、いやだよウィンガル。ばかじゃない、なんで私なんか庇ったの。
「っ、ウィンガル!」
「…大丈夫だ」
「ばか、ばか!」
「アン、治癒を」
「、分かってるわよ!」
手が、震える。マナが定まらない、集まってくれない。止まることなく流れる血。目の奥が熱い。やだ、やだよばかウィンガル。お願い、お願いだから!かたかたと身体まで震えだす。ウィンガル、ウィンガル!
「大丈夫よ、落ち着いて」
プレザの手が添えられる。ふと落ちつく体内のマナ。深く息を吸い込んで、治癒術を唱えた。
「彼の者を癒せ、キュア」
ふわりとウィンガルを包む光。光が収まると、彼の背からは血が止まり、跡も残らずに綺麗に傷が塞がる。その様子に、今までそこにいてこちらを見ていたミラ達も安堵をもらした。
「良かった、です」
「…今日は見逃してあげる」
「次は、絶対に容赦しない」
プレザはウィンガルを支えながら城に向かった。私は、いまだに震える身体を押さえながら、そこから屋根に飛ぶ。
「帰ら、なきゃ」
私は、アンとしてミラ一行にいるのだから。けれど…いまの状態で、普通に接することができる?今まで四象刃が怪我をしてもただの掠り傷や切り傷だった。なのにあんな深い傷を負った…いや、私が負わせたのだ。私があんなことを考えたから。
けれど戻らなければ任務は失敗になる。ふらつく足を動かして、宿屋まで屋根をつたって飛んだ。
宿屋につくと袋にいれておいた変装の服を着て、ベッドに潜った。眠りたい、忘れたい。目がさめたら、全て夢だったらいいのにと、目を閉じた。
「…ん、…」
「…起きたか」
目を覚ますと、部屋はぼんやりと明るかった。枕元のライトだけが明かりを燈し、部屋の大きなライトは切られているようだ。私を思ってのこと、だろう。
「みんな、は…?」
「飯だよ」
「貴方はいいの?」
"腹減ってないんでね"と静かに言うアルヴィンは、窓の縁に座っていた腰を上げて、ゆっくりと私のいるベッドに座った。暗がり、顔にライトがあたり、彼の顔が見える。なにを考えているかわからない、感情の篭らない瞳。その瞳に、どくんと心臓が五月蝿くなった。彼はきっと、気付きはじめたのだ。
震える身体。
20111010
ちょまて←
これアル寄りですてかアル連載ですよ!
ウィンガルじゃないからね!←
なんだかウィンガルいいとこ取りだしアル最後まで空気だったし
どうしたらいいの、話数は増えても本編全く進んでないwww
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