久々の自国。胸は弾むが、少しの恐怖もあった。
王の狩場から帰ってくると、イスラがエリーゼに膝をついて謝った。けれどそれを"知らない"と見向きもせずにエリーゼはまた走り去った。無理もない、まだ10年と少ししか生きていないのに、両親は死に、さらに売られたのだ。心がついていかないだろう。
一夜開けて、ガイアス様にワイバーンで飛んでもいいか許可を取りに行くことになった。知り合いに挨拶したいと言ったアルヴィンについて行くと、レティシャさんのいる部屋に着く。
そこで、ジュード達は驚く、というかショックを受けたのだ。アルヴィンの母親の状態と、彼が何故傭兵をしていたかを。
「アルフレドは泣いてないかしら」
「…大丈夫ですよ、レティシャさん」
先に出て言ったジュード達。私は、そこに残りレティシャさんに近付いた。眉を寄せて私を見るアルヴィンを気にせず、いつも通り、彼女に話しかけた。
「レティシャさん」
「…あら、アミュレインちゃん」
「こんにちは、お加減はいかがですか?」
「少し、頭が痛いわ。
ねぇ…アルフレドは、此処に来ていない?」
「アルフレドも一緒ですよ」
驚いた様子のアルヴィンに手招きし、彼女の前に連れていった。彼女は嬉しそうに彼の手を握り優しく笑いかける。
「アルフレド…身体は平気?悪いこと、していないわよね?」
「………大丈夫だよ、母さん」
「アミュレインちゃんと仲良くしてね、大切にして」
"アミュレイン?"と疑問符を浮かべたアルヴィンから顔を反らす。本当は、まだ本名をバラすつもりはなかった。けれど、彼女が正気のときに彼は会えていないだろう。彼と彼女の会話を間近で見て、正気の彼女と会話してほしい等と思ってしまったのだ。
「レティシャさん、私達そろそろいきますね」
「そう…アミュレインちゃん、また来てくれるかしら」
「もちろんです」
「アルフレドも、一緒に来てくれるわよね?」
「当たり前だろ、母さん」
ふわりと笑ったレティシャさんに向けたアルヴィンの笑みは、今まで見たことのないくらい優しい笑みで。彼は本当に、母親を思って行動しているのだと改めて実感した。
母を思って。
(胸が高鳴ってしまった)
20111009
少し脱線したオリジナルストーリー。
レティシャさんは何故か夢主が行くと正気に戻る率が高い←
母親に向けるアルヴィンの笑みは最高に素敵だと思う私の妄想を詰め込んでみた←
そしてそれにちょっとときめけばいいさ!←←
prev / next