ちびヒナタ





「あー…ぐるぐる〜♪」
「おー、ヒナタは絵が上手いなぁ」

画用紙にクレヨンでグチャグチャな絵を描いているヒナタを見守りながら、ナルトは内心戸惑っていた。



何がどうしてこうなった。

突然、綱手に呼び出されて来てみれば、そこでは幼くなったヒナタが泣き喚いていた。
執務室の隣の控室に、綱手、シズネ、サクラの三人が居て、ぐったりしている。
どうしたのかと尋ねたところ、自分の声に反応してなのか、あれほど騒いでいたヒナタが途端泣き止み、キャッキャッと笑い出す。

「よし、ヒナタを元に戻す方法を探す間、お前に面倒を見ていてもらおう!」
「ええ!そうしましょう!」
「頼んだわよ!ナルト」
「って、おい!ヒナタがどうしてこうなったのか説明してくれよ!」

ナルトの叫びは空しく、綱手達はそそくさと出て行ってしまった。



「ナーくん」

そう言って、ちびヒナタは黄色とオレンジのグルグル巻きの何かを見せた。
画用紙いっぱいに、黄色とオレンジ、そして少し黒のクレヨンを使って描いた物体。
おそらく、自分を描いたのだろうと想像した。

「おお、そっくりだってばよ」
「きゃーぁ!」

ヒナタは気をよくしたのか、紙をめくり、新しい画用紙にクレヨンを押さえつけた。
白い紙に、黒色がグルグルと広がっていく。

(…小さい頃のヒナタって、こんなにも明るく無邪気に笑うのか…)

いつものヒナタは、どちらかと言うと控えめに朗らかに笑う。
大声を上げて笑う所など、見たことがない。

(オレの前だけでも、こうして笑ってくれたらいいのにな)

ボーとしていると、鼻にクレヨンを突っ込まれた。
ツンと鼻に衝撃が走り、目に涙を浮かべた。
鼻を押さえて蹲っている様子を見て、ヒナタは手を叩きはしゃいだ。

(…ちびヒナタ…侮れないってばよ…!)

涙を溜めて、新たにできた絵を覗き見てみると、黒と肌色、そして紫色の塊が描かれていた。

「ん?ヒナタ、何を描いたんだってばよー?」

再びナルトの目めがけてクレヨンを構えるヒナタの手を拘束して、バンザーイの体勢を取らせる。

「こらっ、同じ手は二度も喰らわないってばよ」

ヒナタは遊んでもらっていると思っているのか、「もっと、もっと」とせがむ。
脇を支え、高い高いをすると、今まで以上に喜んだ。
その様子を見て、ナルトは調子に乗ってヒナタを落とさないように胸にしっかり抱き、部屋の中を走り回る。

「ほ〜れ、ヒナタ♪面白いか♪」
「きゃー♪もっとぉー♪」
「びゅーんてばよっ」

がちゃり。

控室の扉が、ゆっくり開いた。
隙間から冷たい殺気を感じ、ナルトはビクリと背筋を凍らす。
足を止め、ぎこちなく首を廻すと、扉の前で鬼のような形相をしているヒアシが目に入ってきた。

「ヒ、ヒアシのおっちゃん…!?」

「ナールートー、貴様ぁ…!」


To be continued...






小説トップ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -