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■小話■

チビヒナタA



「ヒナタ〜げんきでちゅ〜か?」

狐のような縫いぐるみを左右に振って、ヒアシは鼻の下を伸ばして、ヒナタに構っている。
どす黒いオーラを纏って部屋に入って来たかと思えば、小さくなったヒナタを一目見た瞬間、このデレっふりだ。

どうやら、サクラ達からヒナタが小さくなってしまったと知らせを受けてこの部屋にやって来たらしいが……。

ナルトはヒアシの様子を完全に引いてしまい、部屋の隅から彼を遠目で眺めていた。
ヒナタは不思議そうに人形を見ている。見ているだけだった。
なかなか笑わない彼女の様子を見て、ナルトは内心ガッツポーズをした。

(よっしゃー!なんか、勝ったーってばよ!)

ヒアシは人形ではヒナタを喜ばせることができないと悟ったのか、持ってきた風呂敷包みの結び目を解き出した。

「私は、ずっとこれを着せたかったっ!」

そう叫んだと同時に風呂敷包から取り出したのは洋服だった。
白とコーラルピンクが基調の生地、ふりふりと柔らかく飾られたフリル。
胸元には大きなリボンが縫い付けられていた。
しまいには、ヘッドドレスも取り出してきた。
違う、とナルトは感じた。
明らかにヒアシの趣味ではないと、ナルトの心は叫ぶ。

「さぁ!ヒナタ、父様の愛を受け取ってくれ!」
「愛ってなんだよ!ヒアシのおっちゃんのキャラじゃねぇ!……あっ」

ついに、声に出してツッコんでしまった。
魂をも見透かされてしまいそうな、キツイ瞳がナルトを射抜いた。

「びええぇぇぇ!」

突然、甲高い鳴き声をあげ、ヒナタは顔を真っ赤にして泣き出した。
どうしたとヒアシが尋ねると、ヒナタは首を横に振り、手足をばたつかせて、彼を寄せ付けようとはしなかった。
くるりと振り返り、ナルトの肩を掴んで、ヒナタの前の前に付きだす。

「何をしている、あやせ」
「ヒアシのおっちゃんが泣かしたんだろう!?」
「私は、ただドレスを見せただけではないか!お前が奇妙な顔をしているからだ」
「明らかにおっちゃんの所為だろ!」

「なあぁあんがいいいー!」

涙声でヒナタが何かを叫んだ。

「今、なんと?」
「なあぁあくんのがいいーっ!」
「そうか、分かった」

ヒアシが口の端をゆっくり上げたような気がした。
目にみえるはずがないのに、彼の回りから何やら企んでいるような不気味な靄が湧き出ているように見えてしまうのだ。ナルトは戦慄した。
ヒナタの事は勿論心配だが、この場で逃げ出さないと身に危険が及ぶと、本能が警鐘を鳴らす。

「そうだ、なんかジュースでも買ってこようかってばよ」

回れ右をして、ナルトはぎこちなく出口へ向かった。
向かおうとした。
すぐさまヒアシの手が延びてきて、ナルトをがっちりと捕らえた。

「ぬげ」
「へ?」
「うずまきナルト!今すぐ服を脱げ!」
「えええぇぇぇええええ!?」

―――待て、脱げとはなんだ。
そうナルトは心なかで叫んだ。
先程から、ヒアシらしからぬ言動に驚きを隠せない。
堅実剛健という四字熟語がよく似合う彼が、娘の幼き姿にデレッでれ、フリフリの洋服、しまいには男に脱げときた。
ヒナタがなぜ小さくなってしまったかの原因も分からぬままで、サクラ達もいない。
一人でこの場を収めなければならないと思うと、頭が痛くなった。

そうこう物思いに耽っているうちに、上着のジッパーに手がかけられていることに気がついた。
はっと気がついたときにはもう遅く、体を固定されて、上着を開かれそうになっていた。
慌てて抵抗するも、さすがは日向家当主である。
巧みに動きを封じてくる。

ナルトも負けじと持ち前のチャクラとスタミナで体力勝負に出た。
上着を掴む手がなかなか離れないのなら、疲れさせてやればいい。
そう考え、ナルトはありったけの力で暴れ出した。

「クッ…うずまきナルト、往生際が悪いぞ!」
「ヒアシのおっちゃんも何考えているんだってばよ!男のキグルミ剥がして何がいいんだってばよ!」
「ええいっ!紛らわしいことを言うな!私は、ヒナタがお前の服を着たいと言うから脱がそうと言うだけのこと!決してやましい気持ちではないわ!」
「くはっ!ヒナタが俺の服を……それは大賛成!ぜひ着せてくれってば…」
「貴様こそ邪な思いがあるのだな!よくも愛娘をタブらかしてくれたな!お付き合いは決して許さんぞ!」
「や、やだなぁ、オレとヒナタがお似合いだってぇ?!ヒアシのおっちゃん、実は認めてくれていたんだな」
「どこをどう解釈したら、その答になる!?いいから、素直に脱がされろ!」
「自分で脱ぐってばよ!だから降りてくれってばよ!」
「うずまきナルトぉ!!!!」

ガチャッ

「ナルト、ヒアシ様!ヒナタのことなんです…け……ど……」

勢いよく飛び込んできたサクラは、目の前の光景に息を飲み、扉傍で唖然と立ちすくんでしまった。

ちょうど、ヒアシがナルトを組み敷いている状態だった。
状況を知らぬものが見れば、ヒアシがナルトを襲っているようにしか見えなかった。

「………」

サクラは、青い顔をして無言で扉を閉めた。

「サクラちゃーーーん!誤解だってばよぉぉぉっ!」

To be continued...






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