「いいじゃない、かわいいかわいい」
「やだその棒読み」
「そんなことないわよー、ね、シン?」
店の隅の方で突っ立っているレイとシンに、少しは入ってきなさいよオーラを放つルナマリアは、正直、しっかりしたお姉ちゃんみたいだ。
「何で俺なんだよ!」
「えー、だってシン、よく見てたじゃない。ナマエのこと」
「へ?」
「み、見てない!」
何だろう、彼は顔を赤くするのは特技なんだろうか。
「で、どうなのよ?」
「どうって・・・」
言い澱んでいるシンをじとっと見つめると、私はシンの服誉めてあげたのにー、と文句を言う。するとシンは覚悟を決めたのか、真っ赤な顔のままガッと肩を掴んできた。
「一回しか言わねぇからな!」
俺は(その服が)好きだ!と言いたかったであろうシンが、言い終えた後、とんでもないことを言ったことに気づくのは、数秒後。私の顔が赤くなるのも、数秒後。
ルナマリアが呆れたように溜め息をつくのも、数秒後。
(言い間違、いや間違ってはいないこともないのかよくわからないけど、言いたいことは違ったけど、嘘はどのみち言ってない!)