「ほらナマエ!遅い!」
「ご、ごめんって!も、走ったんだから、ゆ、許し、てよ!」
そう、私は遅刻した。でも家から集合場所まで走ったんだから、許してくれてもいいのに、レイがいつまでも『軍人は時間厳守が基本だ』的なことを言い続けてる。
「次からは気を付けるから、ごめんね?」
「はい、じゃあ行くわよ!」
スタスタと最近はやりの店がいっぱいある町を歩く。別に意図した訳じゃなく、勝手に隣を歩く相手が決まってきていた。
「そういえばさ、シンの私服初めて見たなぁ」
「そうか?まぁ、見せたがってるわけじゃないから、めったに着ないけど・・・っていうか、まず制服しか着る機会ないし」
「いいじゃん。似合ってるよ」
するとプイッと顔を反らされ、かわいいかも、なんて思ったら、つい口からからかいの言葉が出ていた。
「なになにー?シンくん、照れてますー?」
うるさいなっ、違う! という返答を待つが、一秒経っても五秒経っても返事がない。からかいすぎたか、と謝ろうと思えば、
「て、照れて悪いかよ・・・っ」
ちょっとふてくされた顔が見えて、ちょっとキュン、と心が鳴った。
(私服を誉められたのは、これが初めてだった)