今朝、ジョットから緊急に呼び出され、受けた指令は、何故か『俺の妹の面倒を見て欲しい』ということだった。まず妹がいたことさえ知らなかったのに、初対面になるはずの自分にそのような事を命令してくるのはどうなのか。聞けばGは知り合いだと言うのだから、Gに任せてしまえばいい。

「それが、何か馬が合わないみたいなんだ。だから君に任せた方がいいだろう」
「……分かった」

そういえば任務という任務は一週間ぐらいなかった気がする。全部このためか、と納得して指定された家へ向う。アジト内にいないのも不思議だが、あくまでも一般人として過ごしているのだろう。

(それにしても、ジョットの妹でござるか……)

扉をノックして待つ間に、どんな人なのだろう、と頭の中で想像してみようとはしたが、すぐにメイドらしい人物が出てきて思考を戻した。

「浅利雨月様ですね?」
「はい」
「プリーモから聞いております。どうぞこちらへ」

小さな一軒家だとは思えないぐらい歩いた頃、ようやくあの家の外見は幻術で作られたものであることを知った。階段を登ったり下りたり。セキュリティは今だけ外してあるのだろうが、飛び道具が構えたりしてある。どういうことだろう。妹のためだけにしてはあまりにも厳重すぎる警備に不思議に思った時、扉の前にたどり着いた。

「ナマエ様。入りますよ」

ドアが開き、ふわりと風が廊下に舞い込んできて、中にいた少女が振り返った。
ジョットと同じような顔立ちだが印象がはっきりと異なるその子は、不思議なオーラを放っている。

「浅利雨月でござる」
「……きれいな音」

あの人とは大違い、とふんわり笑う少女はとても温かい雰囲気だった。





ナマエは大空の炎を持ち、その優れた聴力と感性から人の本質を見抜く力に長けていた。超直感とは違う、物理的な力だと言う。出し抜き出し抜かれるマフィアにとって、常に心音を聞かれて嘘を通じさせない彼女は、喉から手が出るほど欲しい存在らしい。自分が日本から来る前、その件で抗争が起きてから、死んだことにしてずっと家の仲でかくまってきたと言う。

「しかしボンゴレも力をつけ始め、表に出れるようになったと、そういうことでござるか」
「でも、人の心音が、怖くて。人間が、怖いの」

長い間大切に保護されていたナマエは、対人関係が滅法弱かった。その対人関係について、面倒を見て欲しいと、そう言う依頼だった。

(なるほど、Gでは無理なわけでござるよ)

ジョットの右腕としては果たしてみたい任務だったが、気性の荒らさから彼女を怯えさせてしまったのだろう。

「お兄様にも迷惑をかけて。早く外に出れるようになりたい……」
「迷惑などと思ってはいない」
「え?」

まっすぐ目を見つめて、優しく手をとった。


「ジョットは、本当に迷惑になるようなことを、私たちに押し付けたりなどしない。要するに、そういう事でござるよ」


しばらくきょとんとして自分を見ていたナマエが、クスクスと笑い出す。

「Gには悪いことをしました」
「というと?」
「貴方の言葉が嘘でないことは分かったので。Gはちゃんと私のことをまっすぐに見てくれていたのに、お兄様が面倒を押しつけたのではないのかと…だからあんなに起こっているのではないのかと、思って怖くなったのです」
「では外に出れるようになったら、その時は謝りに行くのがいいでござるよ」


はい、と素直に頷く少女に、確実に心を引き寄せられたのは後で分かったこと。





箱庭から抜け出して、





(私、フルートが得意ですの。雨月様は楽器をやっていたとお聞きして…)
(では私と一緒に演奏しましょうか…ところでナマエ)
(はい?)
(私のことも呼び捨てでかまわないでござるよ。Gだけでは不公平で…)
(…分かりました、雨月)











謝罪
まず謝罪をします。
ごめんなさい!←
一度書いてみたことはあった雨月さんですが、本気で口調が分からなくて、偽物感がぷんぷんしますね!←
雨月と名乗る偽物かもしれませんね!←
激甘とのことでしたが、ちっとも激甘くありませんね!←
リクエストに沿えた感がなさそうなので、苦情でしたら正座して聞かせていただきます!

如月様のみお持ち帰りOKです。
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -