ストイックに、どこまでも正確に、長い時間をかけて、一つのボールを打ち込んでいく彼の姿に心を奪われた女子生徒は多いだろう。そう言う名前もその一人だが、他の生徒のようにアタックができるわけもなくしたいわけでもなく、でもなんだかんだと毎日来ているから高尾に顔を覚えられてしまった。
しかし彼は唯我独尊。ワガママは言うし、どこにでもラッキーアイテムを持参するから、最初のあのかっこいい姿はなんだったのだと笑って去っていく女子生徒も半分ぐらいいて、最近の彼の倍率は低下中だ。ありがたいことかどうかは分からないが。

「まーた来てんの?」
「高尾くん」
「真ちゃん、今日は最後まで残るっぽいぜー?俺、今日妹ちゃんの誕生日だからもう切り上げるし、一緒に帰ったら?」

面白いことを思い付きましたという顔を全面に押し出してくる高尾に名前は苦笑いをこぼす。

「違うんだけどね」
「何が?」
「別に付き合いたいとか、そんなんじゃないよ」

この感情はある意味高尾くんと一緒なんじゃない?名前はそう言うと高尾はしばらく目をパチパチと瞬かせたあと、緑間を見て、また名前を見て、あぁ、と理解した。

「バスケにストイックで真っ直ぐな真ちゃんが好きなんだ?」
「そーそー。恋愛とか、それは今は違うよ」

そう言えば高尾はまたニヤリと笑って、名前の頭をわしゃわしゃと撫でる。

「ま、今はそれでいいけどよ。ってうおっ!」

バスケットボールが、高尾の足元に良い音を立てて着弾する。緑間が狙ってやったのだろう。

「ちょ!真ちゃん!」
「妹の誕生日だから早く帰ることを許したのだよ。名字と話させるためじゃない」
「ったく、素直になれよ!」

じゃーな、と笑って手を振られるが、高尾がぱちりとウィンクをしてきて、キョトンとして見ていると、すぐそばに緑間が立っていた。

「や」
「高尾が好きなのか?」
「へ?違うよ?」
「……なら良い。練習は、見ていくのか?」
「うん、緑間くんが打つとこ見たい」
「物好きだな」

くるりと振り返って、眼鏡を直すと、また正反対のゴールに向かってシュートを打ち出す緑間。すごいなぁ、と呟くと、また緑間がチラリとこっちを見た。





その気持ちの行き着く先





(こうやって恋として好きになっていく。)
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