死神



あれは、月が美しい夜だったかもしれません。
ボンゴレから集うよう命令が下り一度イタリアへ渡った後、久々に母国の地を踏みしめていました。
空気感、とでも言うのでしょうか、それが非常に体に馴染んでいるのがわかります。

しかし、目の前で起こったことはとても馴染めそうにありません。
全てが薄黒い色に染まり、奇っ怪な生物が気味の悪い炎を出して倒れている、そんな状況です。

「何者……」

目の前にいる黒衣を身に纏い、漆黒の大鎌を担いで、私を見下ろすそれは、もののけ、と言うより

死神でした。










「それで、貴方は何者なのですか?」

目の前の男はずっとそれを聞いてきた。
憂いを帯びた表情はもともと男前な顔をさらに引き立てているが、私はずっと答えることをしなかった。それが彼のためだからだ。

「あなた、」
「?」
「楽器、できるんでしょう?」

手が無意識のうちに動いているのは分かった。それは望んでいると言うことなのだろう。

「やらないの?」

男の表情がわずかに動いた。それは恐れだ。長い長い沈黙のあと、男は優しく微笑みかけた。

「そうですね、機会があればまた」

何でそんな表情をするのか、私には分からない。けど、彼は何かに足を引っ張られているようだった。

「そう……」

外をぼんやり眺めた。
月が、雲に霞まされていた。










少女はずっと黙ったまま、そばにいました。
それが居心地悪かったわけではありません。
ですが、何故か口が動きました。

「もし、」
「?」
「私が楽器を再び手に取るようなことがあれば、」
「うん」
「そのときは、聞いてもらえますか?」

隣を見れば目が合いました。
少女は、微笑んでいました。

「じゃあそれまで待ってる」
「いつになるか分かりませんよ?」
「私が普通の人間じゃないことぐらい理解してるでしょう?」

そう笑った少女の顔はどことなく辛そうで、

「あなたがその手に欲しいものを手に入れるとき、見届けるわ」

漆黒の鎌を持つ、

儚く消えそうな死神でした。











あとがき
………不完全燃焼。
雨月さんのしゃべり方分からない。
読み方そもそもうげつであってるんだろうか。
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