大勢の前でのオープン告白は見事成功し、良く考えたら失敗したらこれ大恥かくところだったと急に焦ったりしていた。
ギャラリーもいなくなって、花梨も名前ちゃんも打ち上げがあるからと去っていった。が、花梨はもともと学部が同じなので明日も会えるだろうから心配はしていない。完全に取り残された雰囲気で立ち尽くす緑間を振り返る。

「高尾、おまえ、花梨という奴のことが好きだったのか?」

さっきまでそんな素振りはなかったのに、と言いたいのだろう。恋愛云々には鈍い緑間には言われたくねーけど、こればっかりは他のやつらでも分からないはずだ。だって好きになったのは、ライブの時。それより前は同じ学部の女子の一人って認識だったんだから。

「ライブの時の歌がさ、すっげー心に響いてっつーの?惹き付けられたっていうか、目が離せなかったんだよ!」

笑って言うと、一瞬の沈黙の後、緑間は眼鏡のブリッジを押し上げながら呆れたように溜め息をついた。

「お前がどうなろうと俺の知ったことではないが、お前のホークアイは本当に試合以外では使えないのだよ」
「どーゆー意味だよ!」
「自分で考えろ」

スタスタと歩いていっちまう緑間に、訳がわからないと今度は俺が取り残された。










「お姉ちゃん」

目の前をいつも通りのテンションで歩いている花梨を呼び止めると、告白されたあとだと言うのにいつも通りの笑顔で振り返られた。

「んー?どうしたのかにゃ?名前ちゃん」
「お姉ちゃん、彼氏いるはずだよね?どうして、あんなこと……」
「だって、ねぇ?」

隣のたけっちに同意を求めると、花梨に賛成こそしないものの「気持ちは分からなくもないな!」なんて言っている。

「蔦谷のやつ、ずっと花梨のことほったらかしにしてっからなー」
「そーなのよー」

ぶー、と頬を唇を尖らせるおねーちゃんはかわいいけど、それだと高尾くんに失礼だ。

「でも、高尾くんは?」
「んー?いーのいーの!私が本気じゃなくて良かったって高尾が思う日は近いうちに来るし」
「……どゆこと?」

人差し指を唇の下に当てて考えるおねーちゃんは本当に人に魅せる才能があると思う。

「んーとね。高尾も私に本気じゃないから、で、どう?」
「どうって……」

意味がわかりません、と言うしかなかった。





教えるor考える





(えー!真ちゃん!教えてよ!何がなの?!)
(自分で考えろ)

(お姉ちゃん、教えてよ)
(私って良い人よねー)
(話を聞いて!)
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