赤道直下の中立国、オーブ。
夏はうだるように暑くスコールも降るので、何かとデリケートな髪の毛なんかはぐちゃぐちゃになる。この際ストレートパーマ何かをあてようかなぁ、とコーディネイターにはなかなかない悩みを抱えているのはナマエだ。つい最近結婚した彼はコーディネイターで、全てが麗しいというか、とりあえずナチュラルである自分からしたら羨ましすぎたりする容姿を持っている。なんてどうでもいいことを考えながら、その彼の運転する車に揺られつつ友人、と言うより元上司の元へと向かう。
 
「にしても、いきなりだよなー。子供できました、6ヶ月です、ってさ」
「言いにくかったか、それとも報告を忘れてたか。まぁ、マリューさんの場合は、」
「前者、じゃねーの?」
 
クスクスと笑うディアッカ。それを眺めながら、自分もなかなか幸せ者だなぁと実感する。
 
「お、あれだろ。あの家」
「みたいだね。鷹のマーク入ってるし」
「ったく、ラブラブだよなー」
 
俺らもあれぐらいなったらいいんだけど、と呟いたディアッカの言葉は無視した。あれは、恥ずかしすぎる。
オープンカーから降り扉をノックすれば、出てきたのは人のよさそうな笑みを浮かべたムウが出てきた。
 
「来たな。いらっしゃい」
「お久しぶりです、ムウさん」
「父親面してるぜ。すっかりおっさんだな」
「おい、一言多いぞ」
 
適当に一言二言喋れば、ムウは上がってくれ、と促した。
 
「マリューさん!こんにちは!」
「あら、いらっしゃい。二人とも元気?」
「元気だぜ、一応な」
 
リビングに入れば、ゆったりした椅子に座り本を読んでいるマリューがいた。本をパタンと閉じて立ち上がろうとしたのを慌てて止め、自分たちから歩いてマリューの方へ向かう。
 
「おなか大きいですねー!さわっても良いですか?」
「えぇ。さわってあげて。この子もきっと喜ぶわ」
 
自分から聞いておきながら触るのにはずいぶん緊張した。
 
「大丈夫よ。そんなさわったぐらいで壊れたりしないわ」
「いえ、なんか・・・」
「?」
 
「ここに、命があるんだな、って思って」
 
ときどき子供の動きが手のひらに伝わるたびに、それが命の力だと思えて、
 
「みんな、ここから生まれてきたんだよね」
 
死んでしまった母に思いを寄せつつ、ふくらんだお腹から手を離した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「じゃあ失礼しました!」
「いいえ、また来てくれると嬉しいわ。キラくんもラクスさんもなかなか忙しくてこれないみたいだから」
 
お互いクスクス笑った後、ディアッカが車を回してきてくれたのでそれに乗って家を後にした。
 
「いいなー」
「何が?」
「赤ちゃん」
 
視線を感じたのでディアッカの方を見てみると、ニヤニヤした顔が目に入った。
 
「なに?俺たちも頑張る?」
「うっさい、死ね」
「つれねーの」
 
「でも、」
 
いつかは欲しいよね。
 
私たちの思いを継いだ、命。













あとがき
おかしい。こんなはずじゃなかった。
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -