この世界のことをだいたい教えてもらい、コーヒーがすっかり覚めてしまった頃。ナマエさんが『あ、』と声を漏らした。

「どうしたんスか?」
「名前、聞いてなかったわね」
「あぁ!俺、黄瀬涼太っていいます!」
「キセ・リョータ?キセって、変わった名前ね」

ナマエさんが外国人タイプの名前だったことを思いだし、黄瀬が名字で涼太が名前であることを教えると、ナマエさんは不思議そうに自分の名前を連呼してくれた。

「リョータ……リョータが名前なのね?」
「はい!ファーストネームとファミリーネームが入れ替わってるんスけど、俺のいた国はみんなそうだったんスよ!!」

聞いたところによるとこの世界に地球はあるが日本は無いらしい。適当に世界地図を描き、日本があるはずのユーラシア大陸の右下辺りに、日本列島を描き足した。

「ここっス!ここが『日本』で……」
「変な字を書くのね」
「えっ、あぁ、これは漢字って言うんスよ」
「カンジ?」
「『黄瀬涼太』って、こーゆー字っス」

画数が多いことは理解していたが、ナマエさんは線の密度に驚いているようだ。

「ナマエ・ミョウジはどうやって書くの?」
「えっと、日本人の名前ならだいたい直せるんスけど、それ以外は難しいっス」
「そう……」

ちょっと残念そうにしているナマエさんは、紙の余ったスペースに見よう見まねで『黄瀬涼太』と何度も何度も書いていく。覚えようとしているみたいだった。





For 7 days





(うん!覚えたわ!)
(へぇ、じゃあ見ずに書いて見てくださいっス)
(こうで、こうして……)
((書き順が小学生見たいでかわいーっス!))




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