一人教室に残っていつものように窓の外を眺めているのは、この穏やかな空気が好きだからだ。窓の外からは闘技場から戻ってくる元気な声や、その雰囲気に合った光が降り注いでいる。雨の日はそれはそれで、雨が窓を打つ音が良いと思う。だから教室に残っているのはいつものことだ。だが、

「だ、大丈夫か?」

隊長から頼まれたのだろう、大量のプリントや教材をフラフラしながら運んでいるナマエに声をかけた。荷物を持ってやろうとも思ったが、下手に刺激を加えたら倒れてしまいそうだ。

「どーもあらへん、と言いたいけ、どっ……それ言うと、うそにー…なって、ま、うわぁぁぁっ」

ついに雪崩れたプリントに巻き込まれるナマエ。助け出すと髪もぼさぼさになっていて、さすがに可哀相だと思った。

「いやぁ、クラサメには分けて行けって言われたんやけどなー。めんどくさいからまとめたのが間違ってたんか…」
「そうだと思うぞ」

手伝ってやろうと思ってプリントを整理し出すとナマエが待ったをかけた。

「クラサメからお願いされたブツや!うちが最後まで運びきる!」

薬か何かか、と突っ込むのはやめ、ナマエが頑張っている姿を黙って見守ることにした。何往復もして机の上に運びきった後のこいつの顔は達成感に満ちている。おつかいができた子供のようだ。

「よくできたな」

普段はこんなことしないのだが、ぽんぽんと頭を撫でるとナマエは俯いてしまう。顔を覗き込んだら、真っ赤になっているのが分かった。

「なんか、こんな風に褒められたことあらへんかったし、嬉しいかも……」


不覚にも、可愛いと思ってしまった。










(隊長は褒めてくれないのか?)
(クラサメは『ご苦労』としか言わへんからなぁ)
(……今からリフレッシュルームに行くか?)
(ご褒美!?)
(あぁ)
(めっちゃ嬉しい!)
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