あれはね、任務に行った帰りだった。ナマエとお腹が減ったからマクタイに寄ろうと言って入ったんだけど。
「ほぇー!すごいやん!祭りや祭り!」
ナマエが町の雰囲気に一緒になって同化してる。子供みたいに目を輝かせるから笑ってしまった。そう言う私も、なんだけどね。
綿菓子にりんごあめ、今まで一度も来たことがないんだろう、ナマエはそれらを指差して聞いてきた。普段は私がナマエのポジションだからこう言った具合にはしゃいでいる人を見ると面白くなってくる。
「ケイト!あんたあれ得意ちゃう?やってみて!」
ナマエが指差した先には、
「射的?」
「ケイトの武器、銃やん?うちあのトンベリのぬいぐるみほしいねん!」
見ると座った状態で"包丁を持っていない"トンベリのぬいぐるみが置いてある。本物と同じくらいのサイズで見た目も似ている。
「それはいいけど、なんか撃ったらクラサメに怒られそう」
「本物やないしかまわへんよ!頼むわケイト!」
しょうがないわね、と笑うと屋台のおじさんからおもちゃの鉄砲を借りる。
「おじょうちゃんは可愛いからサービスだ!」
おじさんのサービス内容に、ニヤリ、と口許を歪めた。
(ひいぃいっ!もう勘弁してくださいよ!)
(外すまで撃って良いって言ったのおじさんじゃん)
(もう商品がっ……)
((ケイト、屋台泣かせやな))